ネットの暴風に晒され、廃刊が続出している米ジャーナリズムの激変ぶりを描いたクローズアップ現代の書籍化。クロ現自体も見たが、たった30分で非常に濃密な内容だったのをよく覚えている。冒頭登場する、NYタイムズは1400人規模の編集局で、2ヶ月続けて100人規模の希望退職募集を連発している。こんな荒んだ空気の中じゃ、いい仕事もできないのではないかと思った。ピュリツァー賞トロフィーが100近く並ぶ部屋が登場するが、いくら良質な報道をしても、もはや売上低下から逃れられない苦しさを言い表している。
しかし、読み進むと、米ジャーナリズムのリーダーたるタイムズはまだましであることがわかる。次に登場するサンフランシスコ・クロニクルの惨状はもはや眼を覆うばかりだ。5年前に1200人いた社員はわずか500人に。ちょっと前まで営業部門がいたオフィスの机と椅子はがらがら。百貨店に広告を取りに行っても「新聞は読まない」とつれない一言で拒否。近い将来、本社ビルを売り、賃貸オフィスに移る。日本の全国紙では信じられないが、印刷を丸ごと外部委託、ページを小さく、購読者の少ない地域を切り捨て、60%の値上げをしてまで生き残りを図るという。リストラしすぎで縮小のスパイラルに陥っている気がした。日本の全国紙は無駄な部数維持をしているような気もしたが、ある程度部数を支える気持ちがないと、クロニクルのように縮小が止まらなくなる可能性がある。
後半で、ニューザーやAOLなど新聞に代わりつつある新たなネットメディア、新聞がなくなって市民の政治参加意識が低下した研究を紹介しているが、とにかく前半の新聞の斜陽産業ぶりが非常に印象的な本だった。クロ現の本書の回でゲスト出演した立花隆が「新聞が死んでもジャーナリズムは生き残る」と発言していたが、本当にそうだろうか、と本書を読んで改めて感じさせられた。