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彼の見聞した事物は、当時の日本人なら不思議でも何でもない事であるが、現代人は八雲と同じように、日本の神秘に触れることができる。
日本人が当時の日本にオリエンタリズムを感じてしまうのである。
それは、日本は近代化によって得たものより喪失したものの方が大きいのではという問を突きつている。
八雲自身、近代化に突き進む日本に危惧を示している。因みに、漱石も欧米の近代合理主義の過大評価に疑問を呈していたのを思い出す。また、山本夏彦氏が、戦前に近代化は完了してしまった、また明治時代、いとも簡単に文語文の伝統を捨て口語に移行し多くを失ったことを指摘していたことも想起されてきた。
本書は、本来の日本人を知り、考える上で、現代人にこそふさわしいものだと思う。なお、翻訳も丁寧で違和感がなく、翻訳と感じさせない出来映えとなっている。
英語教師として日本にやってきて、明治の日本の文化の高さに素直に驚き、賞賛を送っている。
しかし、八雲が称えた日本の美徳は、もはや過去のものとなってしまったものが多く、とても残念だ。
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