収録されている山行は、北アほぼ全山と奥秩父、白峰三山など今日、いずれもポピュラーなルートばかり。北アはまさに夏山大縦走といった感じです。上高地から槍を越え、立山剣までの九泊十日とか、後立六泊七日とか(アプローチを含まず)、若き英文学者の田部重治が木暮理太郎とともに登ります。でも、木暮君の方が年上で、しかも健脚なので、田部君はちょっと気を遣ってるかな・・。槍では、朝7時に上高地を出て、その日にのうちに槍を越えて硫黄乗越までと、かなり無謀。えー大丈夫?しかも、草鞋履きで。結局、槍の肩五時着でヘロヘロになって殺生泊。やっぱりねえ。殺生小屋は大正11年開設だそうですが、この時(大正二年)すでに四、五人が泊まれる小さな掘立小屋があったのですね。と、そんなふうに百年前の登山に思いを馳せながら、山小屋のテラスなんかで読むのもまた格別かもしれません。百年前も今も、山の姿は変わらないですね(当然といえば当然ですが)。