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初めて読む人に背景で知っていて欲しいのは、
・先立ってしまった妹とし子への深い愛情。
・法華経を篤く信仰していたこと。
・自己犠牲の精神、賢治は農民になりたかったこと。
ここらを少し頭の片隅に入れて読むと内容を理解しやすく善いと思う。
多分誰だって一度は挫折や悲しみ、苦しみを味わう筈だ。其の時賢治を誰より身近に感じられる一冊である。
最後は熱に浮かされながら書いた、あの有名すぎる『雨ニモマケズ』も収録されている。
あとは『春と修羅』の序文の一部に
ここまでたもちつゞけられた
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです
と、ある。この一文が読了後にただ痛く切ない静謐な叫びだけの文ではなく、
この詩集には春の芽生えのようなあたたかいものも存在していたのだと感じさせてくれる。
本書は現代に生きる人々にも、十二分に賢治の世界にふれられるように、ひらがなの使い方もわかりやすく、難しい漢字にもルビをつけ、読みやすい形となっている。
梅原猛は彼を日本を代表する宗教家と位置づけている。
「無声慟哭」本書に収録されている一遍の詩の題名こそ、彼の苦悩する姿をよく表現している。
宗教的な意思から立脚し、人々の為に生きることを覚悟した自分が、妹の死というある意味利己的な現象に立ち向かったときに、彼は自らへの愚直さゆえに、妹の奇跡を祈ることが出来なかった。
彼は多くの人々の為に涙する為に、彼の最も近い存在であり、最も彼をよく理解した妹の死を涙することが出来なかったのだ。
彼の純粋なそしてひたむきな、ある意味宗教的な願いは、この詩集を読むことによってその多くを理解できるだろう。
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