神学書は一般に高価なものだが、この本は違う。内容と分厚さを考えれば、この値段は破格にリーズナブルだ。版元に感謝!
田川師の聖書解釈である以上、人によって評価は様々だろうが、なるほど、ここはこうも読み解けるのか、なるほど、ここはこうも日本語訳できるんだなと、大いに勉強になる。司祭職にあるものや、聖書翻訳に興味のある神学生や信徒には必携の一冊に間違いない。ただし、田川節ともいえる独特の社会・教会批判や、毒舌につきあわされるのは、田川ファンにはメリットであり、田川師を知らない読者には最大の欠陥でもあるw
新教出版社からは、同じく田川師の「増補版マルコ福音書注解上巻」が出ているが、中巻以降の刊行は望めないし、初版刊行以降に、田川先生の神学的、思想的理解が変化していることは、「新約聖書 訳と註 1 マルコ福音書/マタイ福音書」中で明らかにされている。そこを踏まえて、本書を決定版の注解書とみなすのも良いし、読み比べて田川神学の変遷をたどるのも面白いだろう。