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新約聖書 訳と註〈3〉パウロ書簡(その1)
 
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新約聖書 訳と註〈3〉パウロ書簡(その1) [単行本]

田川 建三
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 5,040 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

一語、一句原文を精査校訂、現代の「日本語訳・新約聖書」の定本となる画期的訳業!

 明治以来、新約聖書のさまざまな日本語訳の試みが行われてきました。日本聖書教会に限っても、文語訳、口語訳、共同訳そして新共同訳と、何回かの改訂がなされています。現在最もスタンダードな聖書として流通している「新共同訳」は、プロテスタントとカトリックとの共同作業によるものですが、諸所に護教的な「解釈」が盛り込まれていること、そして古代文献の翻訳に必須の訳註がついていないこと等の欠点があります。
 そうした背景のもと、今回の「田川建三個人訳」は、いわゆるキリスト教会のドグマから完全に自由で、かつ、徹底した正文批判がなされ、一つ一つの語義・語釈についても詳細な註釈が施されています。本書により、名実ともに世界に通用する日本語訳「新約聖書」が誕生したこととなります。

内容(「BOOK」データベースより)

新約聖書学の最前線に立つ詳細な訳註。古代の文献としてのありのままの姿を正直に再現。一語一句、原文に密着し、可能な限り正確な日本語に。

登録情報

  • 単行本: 572ページ
  • 出版社: 作品社 (2007/07)
  • ISBN-10: 4861821347
  • ISBN-13: 978-4861821349
  • 発売日: 2007/07
  • 商品の寸法: 22 x 15.2 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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53 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
RSVやTEB等の英訳が口語訳、共同訳に与えた影響については『書物としての新約聖書』『宗教とは何か(上)』に詳しいです。そして両書で示された翻訳とは極めてイデオロギー性が高い行為であることを踏まえながら、行われた訳業が本書です。またコイネーの特徴上、幾通りにも解釈出来る箇所が多く、本書でもその例が数え切れないほど言及されています。その為にこそ膨大な註釈がついているのです。さらに日本人がネストレを読む場合は英語版インターリニア等に頼らざるを得ないのが現状ではないでしょうか。でも、それでは結局は事実上英訳から重訳しているだけに過ぎません。本書でも指摘されていますが、英語訳にも妥当性を欠く場合があるのです。本書では紙数の制限もあってすべてという訳にはいきませんが、新共同訳や口語訳(のカンニング元になっているTEV、TEB、RSVなど)はもちろん、場合によっては、ルター訳やティンダル訳、ヴルガータにまで遡って語釈の妥当性を検討していきます。そして文脈上も含めてギリシャ語の語源にもっとも近いと著者が判断した読みを採用しています。本書で一番優れているのは、コイネーや英語が出来ない、ましてや正文批判などお手上げな一般読者であっても著者の上述の作業に加わることが可能なことです。そして護教のベールを剥ぎ取られたパウロの生の言説を知ることも可能になります。これは類書には例を見ません。(護教に与した難解な邦語註解書は別だが)。蛇足になりますが、註釈で示されたパウロの思想は著者の私見に過ぎないのは当然のことであり、それをどう解釈するのかは個々の読者のまったくの自由です。本叢書の完結を心待ちにしています。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 若村さき トップ500レビュアー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
田川さん渾身の『新約聖書』訳と注シリーズ、ついに刊行開始。

本巻は、パウロの真正書簡のうち、年代の早い、「テサロニケ人の教会へ」「ガラティアの諸教会へ」「コリントスにある神の教会へ 第1」「コリントスにある神の教会へ 第2」を、年代順に収めています。したがって、通常の聖書とは順番が異なります。

なんといっても、懇切丁寧な注に驚かされます。70数ページの本文に対して、その6倍以上の注を施す、圧巻の注釈書です。素人でもわかるように、ギリシャ語文法、語彙の用例の検討、パウロの書き癖などを示し、「口語訳」「新共同訳」を中心に従来の注解書、学説を滅多切りにします。

その微に入り細を穿つ検討には圧倒されます。

○パウロ書簡には、「イエス・キリスト」と「キリスト・イエス」という2種類の書き方があるが、どう違うのか。これはギリシャ語の形式文法の問題で、属格、与格の時には「キリスト・イエス」になることが多いらしい。(もっともこれは田川さんのオリジナルではない)。

これなどは、通常の聖書には説明されていませんね。また、

○この本では祈りのことば「アーメン」がすべて「アメーン」となっている。これはギリシャ語の「アメーン」を忠実に移したもの。ヘブライ語やアラム語は「アーメーン」。

というのも、トリヴィアルですが、貴重な情報。

○ただ「兄弟たちよ」としか書いていない原文をNRSVは「brothers and sisters」と訳しているが、これは現代の女性差別撤廃の流れによった、行き過ぎの訳。

このように、パウロ書簡にとどまらず、古代言語や翻訳の問題点、諸学説の知識も得られるのですが、真骨頂は、田川さん独特のパウロ像の提示。たとえば、このような評が随所にあります。

○パウロという人は古代でもぬきん出た女性差別的である。(98頁)
○パウロは言行不一致だということになって、コリントスの信者たちに信用されなくなったのだろう。(331頁)
○こうなるとパウロの論理は滅茶苦茶である。(337頁)
○パウロというのは嫌な奴だ、と正直に認識なさればよろしい。それが事実なんだから。(369頁)
○人間はどんな罪人であってもイエス・キリストによって救われるのですよ、と説教して信者を集めておきながら、いったん信者になった人々に対しては、私の説教する倫理基準に従っておとなしく善行を積まないと最後の審判で裁かれることになるよ、と脅かすのは、詐欺とまでは言わないが、それに近いだろう。(445頁)

それから、あまりにも多いので引きませんが、「口語訳」「新共同訳」に対してはまさに罵詈雑言のオンパレード。少々、ほめるところもありますが。

さらに言わずもがなも放言も多いです。
○よほど自衛隊を海外派兵させたいのかしらん。くわばらくわばら。(313頁)
○「公共の福祉」という、現代の日本の自民党・官僚支配の社会ではまるで手垢にまみれて奇妙な意味にされてしまった表現は‥‥(347頁)
○古代の軍隊は(今でもそうだが)、略奪行為を主たる仕事にしていた。(516頁)

上記の罵詈や放言をきれいに除き、純学術的に書き改めたら、万人受けする本になったでしょう。でもそれでは田川さんではないですね。田川節を楽しみ、罵詈や放言を「よっ、待ってました」とでも思うくらいの懐の深い読者に薦めます。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
1テサ, ガラ, 1コリ, 2コリを収録。毒舌を笑い飛ばせるくらいの信仰を持った説教者がきちんとギリシャ語に当たる場合にこそ、この書物の真価を発見できるだろう。個々の単語の訳語を、欽定訳やルターやウルガタの影響(著者は「護教的」な読み込みと言うが)を除去して語義的に元来の意味にこだわって選択した可能な限りの直訳で、そのことを註で詳述。分詞構文など後から修飾して文を続けている構文も、なかなか苦慮して原文に近づけて訳している。そのために日本語としての読みやすさは考えていない、といより、そもそも原文の意味が一つに確定できないならばその曖昧さをそのままに訳出し、訳を一意に決定できない場合に考え得る訳をすべて註において吟味、特に口語訳と新共同訳との比較を中心にその他の訳と相違する理由を、毒舌を絡めながら飽きずに張り切って叙述(しかし新共同訳の「キリストに結ばれて」の頻出にいたってはついに「もうやめてよ!」と絶叫。2コリ12:19)、本文批評(著者は「正文批判」と言う)も原文が確定できなければ断定しないという姿勢で言及、バウアーさえ鵜呑みにせず、パウロの悪文(例えばγαρの多用)や属格趣味(1テサ1:3など)や自意識過剰(例えば1テサ2:18)に辛抱して付き合い、うまく訳せないときは素直に謝る(1テサ3:7、ガラ1:11、1コリ15:34など)。
「口語訳」と「新共同訳」をけちょんけちょんに批判しているのは、立派な翻訳であるからで、「すでにそういうものが存在しているにもかかわらず、敢えてそれと異なる訳を提供するには、・・・それだけの理由がなければならない」からだが、それらの方が優れている場合には真似をしている(例えば1テサ2:5)。なお、これ以外の日本語訳は「水準がまるで違って、とても言及するに価しない」(序文)。
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