当時、一世を風靡していた社会的ダーウィニズムを「進化論」の誤った解釈であると批判し、「適者生存」に基づく「生存競争」ではなく「連帯」による「相互扶助」が進化の要因であると結論づけた。著者ピョートル・クロポトキンは、十九世紀帝政ロシアのアナキスト革命家であり、高名な学者として世界的な名声があった人物として知られている。本書もその学識を活かして執筆されており、生物学の豊富な実例や歴史に基づいて、より実証的な考察がなされている。また文章も平易で分かりやすく、その描写はファーブルの「昆虫記」に匹敵すると言っても過言ではない。また本書は、大窪一志氏の解説「甦れ、相互扶助」が収録されており、それは「相互扶助論」の理解の一助となるため、必読である。