いい本ですよ。スーツを仕事で着る必要がある人、あるいはスーツを着こなしてみたい初心者・初級者の人向けの類書では、この本の旧版が群を抜いて良かったし、それは新版になっても変わらないでしょう。鏡や窓ガラスに映った自分のスーツ姿を見て、「もう少しどうにかしたいが、どうしたらいいか分からない」という人は、ぜひ手に取るべき本です。スーツだけでなく、靴、シャツ、ネクタイ、靴下といった個々の部品についても一つ一つ丁寧に述べていて、一冊読み通すと、全体としてスーツ姿をコーディネートするコツみたいなのが分かってきます。まあスーツなので安くはないですが予算の違いや、年齢、英国・イタリア・アメリカといったスタイルの違いについてもバランスよく言及されていて、非常に実用的な本です。逆に言うとこの人の他の本はクラシコ・イタリア趣味やウンチク自慢が過剰で、「お好きな人」以外には勧めません。(まあクラシコ・イタリア系の服飾評論家の書く本はみんなそうなんですが。)その中で、この本だけは自分の趣味を過剰に露出するのを抑えて、例外的に多くの人に「役に立つ」本になっています。