オリジナルは1999年5月弓立社からリリース。『新版』は2010年7月7日リリース。最近続々と副島隆彦の名著を『新版(つまり現在に照らし合わせ著者自身がアップデートを施す)』としてリリースしているPHPにまず敬意を表したい。この調子で『現代アメリカ政治思想の大研究(1995年筑摩書房)』の『新版』を四六判でリリースして欲しい。
とても一冊の本とは思えないほど膨大な内容が詰まった本である。タイトルが最適かどうかは『売る』という観点から考えてやむを得なかったようだが(実際最後の部分でそれは触れられていて当初は『右であれ左であれ、我が祖国(My Country,Right or Wrong)』というジョージ・オーウェルの書名と同じものにするつもりだったらしいが断念している)、終戦当時から60年安保闘争の日本の政治的状況にはじまり、アメリカの政治の秘密(この部分が最も感心した、この本はむしろ『アメリカの秘密』ではないか?)、海上自衛隊への訪問と訓練の実体験(まさしく真のファンダメンタル分析だな)、そして自身の思想遍歴形成過程分析と『今』の日本の分析、どれもすばらしい内容である。
これほど正直かつ正しく事象を捉えようとする評論家は他にいないだろう。全評論家の中で副島隆彦だけが視点が日本の中にあるのでなくて、日本の『外』にあるのだと思う。つまり世界基準で日本を観ている。思うのは簡易に受け取れるマスコミの情報やブラック・ボックスでしかない世論調査など、世界基準から見れば『ウソ』でしかないということだ。そういうことに気がつかせてくれる大変インパクトの強い一冊で、副島著作の白眉とも言える名著だと思う。