星野さんは、思いがけない事故で怪我をして身体が不自由になりました。
入院中から、唯一動かすことができる「あご・くち」を使い、ガーゼで巻い
た筆を口にくわえて絵や詩を描いています。
以前、偶然彼の描いた絵を見たとき、なんだか心にグサッときたんです。
詩と絵が一体となって…。まさか口で描いた絵と詩だなんて思わなかった。
それがキッカケでこの本を購入しました。軽い感じでね。
いきなりの事実にハッとします。身体が不自由で、絵も詩も口にくわえた筆
で描いているということに。
読み進むうちに、星野さんの周りを取り巻く人達や母親へ愛情や感謝が、
その詩で表現されていることに気づきます。
星野さんは、自分には大きな絵を描く力もなく、
細かい描写もできないと言います。
詩も、詩と言えるものでもなく、
「自分の心の中」をただ表現しただけだと言います。
ただ心の中を表現する日々。
そんな中、絵や詩を見た知人が、生まれて初めての展覧会を開いてみないか
と持ちかけます。
小さな小さな展覧会を。田舎の小さな身障者センターの「廊下」で。
知人のどうしても開きたいという熱意に負けて、
描きためた「スケッチブックの絵」に「詩」を添えて展示しました。
おっかなびっくりで開いた、生まれてはじめての…
小さな小さな「廊下での展覧会」は予想を超える反響を呼びました。
感動の涙を流すひとたちで狭い廊下はいっぱいになりました。
廊下の隅に置かれた大学ノートは、感動のメッセージが書き綴られました。
驚くことに・・・ぎっしり4冊も。
怪我をした最初のころの詩には、人を憎む表現、うらやむ表現があります。
そして、すこしずつ、母や友人への感謝へ表現が変化する。
ココロの変化が絵と詩で伝わってきます。
せっかく会いにきてくれたのに手を振ってお別れの挨拶ができないから…
舌を出して左右に振って心からの感謝を表現します。
絵の大きさや鮮やかな色彩などではなく、
親しい人への愛や感謝をまっすぐ詩や絵にしているということが、
見た人のココロを動かすようです。
ひとの「弱さ」と「強さ」が、素直に表現されると、
それを見た人は、強く心が揺り動かされるのかもしれませんね。