昨年の金融危機からマスコミで新自由主義ということばが多く聞かれるようになりました。本書では、まず新自由主義=ネオリベラリズムを確立したアメリカの学者達の理論から系譜、市場での実践をたどっています。新自由主義が規制緩和の名のもとに、アメリカをはじめ世界中を席巻した結果、なぜ格差社会が作り出されてしまったのかを、本書ではくわしく説明しています。政治や経済が苦手な人にも、丁寧でわかりやすい文章や語句で書かれているので、とても理解しやすいです。
日本についても、具体的に誰がどのようにして新自由主義を利用し大儲けしていたのか、また、なぜ日本社会全体が、今の市場原理主義や能率第一主義に変わってしまったのかを、筆者の内橋さんは順序だてて明確に主張しています。さらに、お金には二種類あるとし、ひとつは金融経済のマネーであり、もうひとつは実質経済の金(カネ)である、と説明されています。本書では、内橋さんは一貫して反新自由主義、反マネー資本主義の立場をとられています。
内橋さんの本は、“共生の大地”、“もうひとつの日本は可能だ”、の二書を先に読みましたが、私は本書が一番わかりやすく読みやすかったでした。今回改訂版となり、内容が追加補足されたため、中身の古さを感じることはありませんでした。
日本はなぜこんな格差社会になったしまったのか!?、新自由主義とは何!?、と思っている人にぜひ読んでもらいたい一冊です。内橋さんのような、人々の共生を重んじる経済評論家も日本にいることを知ってほしいと思います。