東北関東大震災が起こるまで、「原発」と聞いても、よく分からないけど、何となく難しい、という認識だった。
しかし、震災を機に、錯綜する報道でいくら聞いてもよく分からないため、少しでも知識を得たいと思い、
手にとった中で、この本が一番理解しやすいものだった。
この本を読んで、自分を恥じるとともに、無意識にさまざまなサービスを享受できる現代の恐ろしさをまざまざと感じた。
私たちの生活を支える電気をつくるうえで、原発は非常に大きな役割を果たしている。
しかし、原発はとても危険な施設だ。目に見えない放射線は、あまりにも恐ろしい。
それなのに、原発が近くになければ、「他人事」で済まされている。
原発が設置されている福島県では、福島原発の発電量のたった8%しか使われていないそうだ。
それ以外の大部分は、途方もない長い距離を経て、都市部で使われている。
それなのに、原発をかかえる地方では、非常時には電気は残らず、放射性物質を含む廃墟と、甚大な被害が残る。
震災での原発事故混乱の責任を、電力会社や国家に求めるのは安易で、確かに一面でその通りだと思う。
しかし一番大切なのは、名もない私たち一人一人が、自分たちの生活を支えているものに、受身にならず、
「知る」「自覚する」ということではないかと思う。
震災で大変な被害を受け、明日をも知れぬ不安を抱える人が、同じ日本にたくさんいるのに、
一方で無駄な電気を使いながら、自分の狭い世界を最優先して笑いあう人がいる。
人任せに受身でありながら、発言や対応のまずさについて粗さがしをし、他を批判する人がいる。
私は、その無自覚が、とても恐ろしいと思う。
メディアの報道が分かりにくければ、自分で知ることができる。
この本は確かに、一貫して強い態度で原発反対の立場から書かれている。
中立な立場で原発のメリット・デメリットが書かれているとは言いにくい。
しかし2006年出版にも関わらず、福島第一原発で起こっている事故をそのまま予言する内容であった。
また、電力会社や原子力保安院の実態を赤裸々に暴露するものでもあった。
岩波ジュニア新書は、中高生向けに信用できるシリーズなので、一般人が読むのにも非常に役に立つ。
ぜひ、たくさんの人に知って欲しい。
私たちの、いとしい国、日本の一部で、決して他人事ではない出来事がある。
みんなが当事者となって考えたい、悲痛な事実を知るヒントが、この本にはある。