雑誌を除いて、福島第一原発の事故についてふれた本は、本書が最初だ
と思います。しかし、センセーショナルな本ではありません。
【概要】
1.図表を用いた原子炉の詳しい解説
2.燃料棒を入れる圧力容器の経年劣化(中性子線による)
3.劣化のため耐用年数以下で部品交換必要となることもある
4.スリーマイル島事故
5.チェルノブイリ事故
6.配管のギロチン破断、その他の深刻な事故
…そして福島第一での事故。
以上が国内外の多数の事例をもとに詳しく解説してあります。
【読み終えて】
福島第一の事故を「私たちはまだ何も分かっていない」ことが分かった。
当事者の東電も、政府機関も、権威ある専門家もそうだろう、と分かった。
(それだけに、発電所従業員の皆様のご苦労に頭が下がります。)
水漏れは圧力容器に損傷があるのか、あるいは配管か?それも分かってない。
また、著者は「非常用ディーゼル発電機の故障もはじめは津波のためといわれて
いたが…ディーゼル冷却用の海水が取り入れられなかったためではないか…」と
推測しています。炉は覗けず計器は故障し、現場は推測しながらの対処でしょう。
事故は収束向かっているのか、悪化しているのか。状況の好転を祈ります。
昨日(4/13)英科学誌ネイチャー(電子版)に、今回の事故を収束させるのに
数十年〜100年はかかると専門家の見解が掲載されたそうです(読売、朝日)。
年数の幅が広いのは、故障箇所と故障原因がまだ特定できないからでしょうか。
【本書の題名】
「原子力安全保安院」「原子力安全委員会」「原子力安全白書」他の国は知りません
が、日本では「危険」はタブーなのですね。
…題名に込めた著者の意図が伝わってきます。
安全だと言うより、危険だと思っていた方が安全ですよね。車の運転と同じ。
推進、廃絶、どんな考えの人にも一読をおすすめします。
追記 4/17
一号炉で4/6から窒素の注入が続いています。燃料棒の金属と水の反応で発生した水素による爆発の予防のためです。私には疑問がありました。圧力容器に窒素注入と言うことは、容器内の圧力が上昇します。容器は耐えられるのか?注入は可能なのか?昨日TV(日テレニュース24)で原子力安全保安院の会見を見ました。私の疑問と同様な質問に答えて、担当者はこう答えていました。
「(…抜けている、ということですから)今後も窒素の注入を継続することもあります。」
びっくりしました。本書の該当部分をみると、
「…(圧力容器や格納容器の周辺は)非常に多くの配管が通されている。…水素が接合部分の隙間を通り抜けるのは、容易なことだ。」
”放射能は完全に封じ込めます。”
という電力会社の説明は嘘だったんだ。
通常運転の場合は、恒常的に漏れる放射は微量かもしれないが(あっ、そのために排気筒があるのか!)、燃料が一部溶融している状態では桁違いの放射能が放出されているはずなのに、気密性はその程度だったのか。注水すると水漏れ、窒素注入では気体が漏れる。どちらも放射能を含む。猛毒の放射能を封じ込めるというテクノロジーは、砂上の楼閣に見えてくる。あるいは、”知らしむべからず”でしょうか。何らかの利益のために、国民に真実を明かしてなかったのでしょう。