ときは明治末期。陸軍省測量官・柴崎芳太郎とその部下からなる測量隊が、前人未踏とされた越中・剱岳に挑んだ史実をもとにした小説。いわば明治のプロジェクトX。
着実に前進し、無理な突破を図らない柴崎のリーダーシップがいい。このへんは「八甲田山〜」の徳島隊のようで、山岳活動のお手本を見るよう。その一方で、時折はさまれる柴崎と新婚の妻・葉津よとの手紙のやりとりにほっとする。
登頂ルートをふたつ断念し、その途中には生死をさまよう暴風雨にも見舞われるのだが、終盤は意外にもアッサリと進んで、ラストは「孤高の人」や「八甲田山〜」ほどのインパクトは無かった(この話は上のふたつと違って成功談だからね)。
山中シーンが多い物語だけに、映像で見てこそ、偉業を実感できるのかも。