本書はアメリカMBAでも多く採用されているファイナンスの教科書の邦訳である。まず、第1部では損益計算書や貸借対照表といった財務諸表の見方からはじまり、そこからROE(株主資本利益率)などの企業業績指標を計算する方法や各指標の見方について説明している。そして第2部では財務予測の手法と計画策定の方法について、第3部では株式発行、社債発行などの資金調達の種類や選定の手法について述べている。最後に第4部では投資の評価やリスク分析の方法について説明している。
このように本書はファイナンスの基本をほぼすべて網羅しているが、その特徴は、多くの事例を織り込んで大変わかりやすく書かれているという点にある。そして理論を述べるだけでなく、実際のケースに応用する際に留意すべき事項についても詳しく述べている。たとえば、ROEは多くの経営者が重視している指標の1つであるが、その問題点のいくつかを提起して、それを修正し評価する方法について紹介している。また、バランスの取れた「持続可能な成長」の方法について一章を設け、実際の成長がそれを上回った場合と下回った場合の対策についても述べている。
原著の巻末に設けられている用語集が邦訳で省略されているのは残念であるが、各章末にはまとめと章末問題があり、巻末にその解答と解説が掲載されているので、理解度のチェックができるようになっている。
このように本書は、会計やファイナンスの予備知識をほとんど持たない人でも、ファイナンスの基礎全般を学べるように工夫されている。企業研修や大学でのテキストとしてだけでなく、独学で習得したい人にもおすすめできる。(戸田啓介)
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他のテキストは、不必要に難しい単語を用いたり、AならばBのつながりが不明確であったりするが、本書は簡潔に原理を説明しており、AならばBという論理のつながりも明確に示されており財務の初心者でもMBAで通用する財務の知識を習得することができる。
しかし、簡潔明快に説明されているとはいえ濃い内容が収められているので時間と忍耐を使って読む心構えが必要だろう。忍耐力と時間は必要だが得られるものは大きい。私自身、現在ファイナンシャルアナリストとして米国系の企業で勤務しているが、実務に耐えうる内容であるにもかかわらず初学者でも読み進めることのできる稀有な本である。
Whartonの財務の教授に、何か一冊だけ財務関連の本を推薦するとしたら何か、と伺ったところ本書を推されていた。
なお、僕はエンジニアでまとなファイナンスの本はこれがはじめてでしたが充分理解で
きたと思います。特に、理解度をチェックできる章末の練習問題が自習を助けてくれる
と思いますし、じっくり腰を落ち着かせて勉強する気のある人にはとてもよいと思いま
す。
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