著者は泉質の鬼です。一級建築士であるから建物に興味はありますが、いくら由緒ある重要文化財クラスの温泉宿だろうと温泉自体がよくなければ高く評価しません。良くわかりませんが、食事にも余りこだわらない方なのではないでしょうか。そのため彼の選定した宿に泊まると、浴槽や部屋のしつらえ、食事などを総合すると不満が残ることがあります。それだけにほぼ泉質一本勝負の共同湯でははずれがありません。それからこの本で便利なのは野湯が多数紹介されていることです。野湯には、ん、なんかなまぬるいけどね、どぶみたいで入ったら病気になりそうなんてシロモノもあります。本書では浴感のいいまあ入れる野湯(奥々八九郎温泉、荒湯地獄、広河原温泉、奥鬼怒湯沢、湯俣温泉など)が記述されています。ただ、日本の野湯のたぶん最高峰、霧島の山ん城温泉(残念ながら現在立入り禁止)、川原毛大湯滝、長笹川の露天風呂などは同じ著者の「日本全国マル秘湯112選」に掲載されています。自然と一体となった究極の露天風呂への入浴を好む方は購入されるとよいと思います。各温泉にはカラー写真、案内図がついています。