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80 人中、70人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
経済論議のためには正確な現状認識が必要、いかに通説に誤りが多いか明らかにする著作,
By 少子化問題に直面しようとしない日本 (さすらいの旅人) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 新潮選書 日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学 (単行本)
各誌や日経のサイト等で発表された論考を一冊に纏めてある。非常に面白く興味深い考察がなされているので是非一読されたい。 一例を挙げると、地方における給与の官民格差を 「優秀な人材を確保するため」と正当化する言説は真っ赤な嘘で、 民間から人材を奪う結果に陥ってしまうこと、 日本の高齢層は既に北欧並の社会保障給付を受けており 例え幾らか削減されても給付は高水準であること、 (これは主に共済年金と厚生年金の受給者と思われる) しばしば医療制度が高く評価されるイギリスは 日本と比べて遥かに育児支援に多額の予算を投入していること。 突っ込み不足の論考も散見されるが、 誤った前提での議論が時間の無駄であるのは明らかで、 当書を読んで経済リテラシーを高めて欲しい論者が 数えきれないほど大勢いらっしゃる現状が残念でならない。 追記:ひとつ重大なすり替えを発見。「人口が減ると貧しくなるとの説は誤り」と巻頭で主張されているが、正しくは「人口減少で貧しくなるとは限らないが、経済成長の足を引っ張るのは確実」である。著者も「何もしなければ日本は毎年0.5%ずつ貧しくなる」とP109で明言しているのだが。。 追記2:熟読した末の結論。著者は通説に厳しいが、自説に対して甘い。生産性や構造問題に関する分析は粗過ぎる(90年代に高生産性の製造業から低生産性の建設・サービス業へ労働者が移動したことを問題視する池田信夫氏の方が説得的)。また、「若者の雇用改善は少子化対策になる」との説は根拠薄弱。出生率はバブル期も含め一貫して下落基調にあり、若年失業率と出生率の相関性は低い。欧州諸国の事例で、育児関連の社会保障予算比率の方が影響大なのは明らか。
12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
江戸時代から何も変わっていない、貧しさの根幹の原因は住宅,
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レビュー対象商品: 新潮選書 日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学 (単行本)
多くの人は気づいていないようだが、貧困の根本原因は住宅である。築100年を越える住宅を見つけるのは難しいが、民間木造家屋の平均耐用年数は30年程度しかないのをご存知だろうか。(旧建設省の建設白書より引用)先進国の中では極端に短いのが特徴である。「住宅を取り壊しては建て直し」を短い周期で延々と繰り返してきたのが、これまで日本人がやってきたことである。江戸は木造住宅が密集している巨大都市だったが、大火だけで100回以上起こっていて、2.6年に一度の割合で焼けている。そんなに焼けるとなると、建てる方でも取り壊しを考えて建てたそうだ。「長持ちする頑丈な住宅を造ろう」という考えは生まれなかった。そんなことを考えても無駄だろう。どうせ焼けるのだから。江戸では狭い空間スペースを有効利用するため、大工の手仕事の巧みさが要求された。伝統が進む方向が違うのだ。 「日本にも合掌造りのように、木造でも100年長持ちする住宅がある」と反論されそうだ。たしかに現存する古い民家は素晴らしい。ではその素晴らしい民家が、あなたの住まいの周辺に何軒残っているのか?ああいうものは日本建築の例外で、主流は「取り壊すことを前提に建てる」という考え方だった。 その証拠に「土地値」という言葉がある。「本当に価値のある不動産は土地だけで、建物は消耗品にすぎない」という考え方だが、これが江戸時代から続く日本社会の伝統である。だから「土地神話」のようないびつな価値観が発達したのである。特に地域社会で活動している工務店が問題なのだ。彼らはなかなか本音を言わないが、酒が入るとポロっと洩らしたりする。「まあ適度に建て替えてもらわないと、俺たちの仕事ができないからね。」 重い住宅ローンを背負っている人は大勢いるが、ローンを払い終わる頃には住宅の耐用年数は尽き、経済価値はゼロになって売れないのが現状である。(いわゆる土地値)これが日本社会でいつまでたっても経済的余裕が生まれてこない元凶である。欧米なら土地だけでなく、ローンを払い終えた住宅にも値段がつき、資産価値が認められることをご存知だろうか?これがどういう違いを生むのか考えてほしい。
48 人中、38人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
あなたの「常識」、点検してみませんか?,
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レビュー対象商品: 新潮選書 日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学 (単行本)
NIKKEI NET BIZ+PLUSコラム「経済学で考える」とエコノミスト誌の連載コラム「俗論解剖」「危機の深層」から、6つのテーマに沿った62編を選び、データを更新し一部を編集・改訂した本です。格差、人口減少、グローバリズムなど内容は多岐に渡り、書名「日本はなぜ貧しい人が多いのか」は1編の主題に過ぎません。副題に「『意外な事実』の経済学」とあるように、どのコラムにも必ずデータが登場します。過去と現在の分析では、何に注目するかを説明してデータを示し、そこから確実にいえることと推論できることを、きちんと区別しつつ紹介します。将来の予測では、可能性を絞り込むために仮定した条件についての記述が加わります。 各コラムは概ね4〜5ページとコンパクトです。個々の話題は適当なサイズに限定されており、シンプルな論理で書かれています。経済学の専門教育を受けていない読者でも、不都合なく読める本だと思います。 本書の価値は、事実に反する俗論がはっきりわかることです。また、事実から政策を導く難しさも、理解できます。事実を抜きに思想信条で政策を決める非科学的態度の悪は明瞭ながら、本書においても、具体的な政策提言は、ほとんどが推論に拠っています。データから確実にいえることは、それほど多くないのです。 しかし、本書の前書きにある通り、誤った事実認識から正しい政策は生まれないが、正しい事実認識からは正しい政策対応が生まれる可能性があります。事実に反する「常識」が、どれほど日本の政策を歪めてきたか。まずはあなたの「常識」を点検してみませんか?
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