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新潮選書強い者は生き残れない環境から考える新しい進化論
 
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新潮選書強い者は生き残れない環境から考える新しい進化論 [単行本]

吉村 仁
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

約40億年という生物史を振り返ると、生き残っているのは「強い者」ではなかった。ダーウィンの進化論にはなかった、「環境は変動し続けるもの」という斬新な切り口から、「協力行動」という生命の生き残り戦略に注目する。終章では自由市場主義の瑕疵まで論及。ダーウィン進化論にはじまり、総合学説に発展した現代進化論に、いま「環境変動説」が加わる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

吉村 仁
1954年、神奈川生まれ。ブリティッシュ・コロンビア大学研究員、インペリアル・カレッジ個体群生物学センター研究員などを経て、静岡大学創造科学技術大学院教授およびニューヨーク州立大学併任教授、千葉大学客員教授。専門は数理生態学で、主に進化理論を研究している。1987年に発表した環境不確定性の論文が、進化理論研究の第一人者、英国のメイナード・スミスらが書いた『Nature』レビューに引用され欧米で一躍注目を集めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 251ページ
  • 出版社: 新潮社 (2009/11/25)
  • ISBN-10: 4106036525
  • ISBN-13: 978-4106036521
  • 発売日: 2009/11/25
  • 商品の寸法: 19.4 x 13 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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43 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
進化生物学の知見を基にして、現代文明論・経済論まで論じた本。そのようなスケールの大きな論を試みた意気だけは買うが、残念ながら相当に力不足であり、全体的に見て読むに値する部分は少ないと思われる。

まず、本書のテーマについて。著者は「適応度万能論に対するアンチテーゼ」(前書き)などと大上段に構えた書き方をしているが、実は、変動環境の場合でも平均適応度が最大の形質が進化する、つまり「『平均的に』最も強いものが生き残る」というだけの話に過ぎない。また、人間社会の議論に文化的要因の話が全然出てこないのは変だ。ビル・ゲイツの様な「にわか成金」が多額の寄付をするのは自分の適応度をあげるため(2章)などいう説明も、それこそ別の意味で「適応度万能論」ではないか、と皮肉りたくなる。さらに、ゲーム理論が経済学に応用されたせいで市場原理主義が台頭したと述べているが(14章)飛行機が墜落するのはニュートンのせいなどと言うに等しい詭弁ではないか。
そもそも、前書きの結びに、市場原理主義に基づき下請けや季節工を切り捨ててきた(ここでその是非は問わないが)大企業のトップの言葉を我が意を得たりと紹介しているようでは、著者に市場原理主義を超える思想など期待できる筈もない(余談だが同様の台詞は2001年の小泉首相の所信表明演説の方が有名では?)。

それ以外にも、章節の構成が雑然としており、頻繁に無関係のエピソードが挟まっていて混乱するし、著者独自の仮説が既存の仮説とどの程度異なるのかが不明瞭である。専門的知識に関する誤りも目立つ(例えば、タカハトゲームに関して第2章の説明にも関わらず、第14章でタカ戦略が常にナッシュ均衡になると誤った説明をしている)。
とくに後半に関しては日本語が怪しい箇所も多く、最低限のチェックすらされていないことがうかがえる。編集者の姿勢も問われて然るべきだろう。
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22 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 平祥志 トップ1000レビュアー
形式:単行本
強い者が生き残るのではなく、環境変化に対応できたものだけが生き残る。
その最も有効な方法の一つが他者と共存することである。

この一つの仮説の蓋然性を生物界の様々な事例から説明し、さらには、これらを通じて現代社会へ示唆を試みており、興味深いものだった。

現代社会への示唆として、いくつか挙げてみる。

・人間が社会をつくった動機は、「存続のための協力」のためだったはずだが、民主主義と自由主義が発達するにつれて、ナッシュ均衡(己の利益の最大化)を求める経済活動ばかりが目立つようになった。(一方で、こうしたゲーム理論の落とし穴にも触れている。)

・世界の資本は有限であり、経済は常に発展するものではない。短期的な投資は有限な資本の奪い合いであり、このようなギャンブル的行為は、経済的活動を崩壊させ、やがては文明をも滅ぼす。

・金融資本主義は、短期的には強者に利益をもたらすが、長期的には強者だけでなく、弱者も含んだすべての人々に不利益をもたらす。

そして、「我々は長期的な利益のために、短期的な利益の追求を抑え、協同行動をとるべきであり、自由主義という名の下にナッシュ解を求めていったら絶滅しかありえない」とも述べている。

一方、本書を読んで考えたことは、他者と共存することとはどういうことなのか。同じ種、グループ、業界内での共存はできたしても、それが環境変化に耐えうるのだろうか。利己的な欲求を抑え、他者と共存しながら持続可能な社会を作り上げていくためには何が必要なのだろうか。特に今日の世界において、経済的な国境が消えつつあるなか、崇高な理念だけでは困難なはずだ。

自分にとっては難易度が高いものだったが、いろいろと考えさせられることが多く、何度も読み返しながらもう少し掘り下げてみたい一冊となった。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
形式:単行本
著者が提唱する新たな進化論〜環境が進化を決定づけるという環境進化論の立場から、13年と17年に1回現れるセミの大群の謎を解き明かした著者。
今回は、ゲーム理論を主題に、お互いに協力し合う「共生」が最適な生き残り戦略であることを解き明かしていく。

著者の植物学、物理学、社会学や経済学まで多分野にわたる造詣の深さには感心させられる。
このほか「マーフィの法則は当たっている」として、リスク回避の人間行動を説明したり、数世代にわたって北米大陸を移動するオオカバマダラの不思議。農業は人間だけの特権ではないとしてハリキリアリやクロソラスズメダイを紹介していたり、動物が学習するとしてシジュウカラがイギリスの牛乳瓶のふたを開けて飲んでいたという話。生物の進化史の中で、現代が過去の5大絶滅の時代に匹敵する大量絶滅時代に入っているという指摘。などなど、興味深い著述もいくつもある。

特に、最終章「共生するものが進化する」は、圧巻である。
行き過ぎた資本主義の崩壊を見つめながら、著者は言う。「世界の資本は有限で、経済は常に成長するものではない。〜強いものは最後まで生き残れない。最後まで生き残ることができるのは、他人と協力・共生できる共生するものであることは、進化史が我々に教えてくれる。」

そして、「あとがき」でIQが低く特殊学級への進学を進められていた小さい頃の著者が、まさに表題のとおりの歩みをしてきたのだと種明かしされる。
生きるための希望さえも与えてくれる本である。
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投稿日: 2010/2/1 投稿者: memento
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