登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
40 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
軽すぎる。もっと地に足の着いた議論を,
By
レビュー対象商品: 新潮選書強い者は生き残れない環境から考える新しい進化論 (単行本)
進化生物学の知見を基にして、現代文明論・経済論まで論じた本。そのようなスケールの大きな論を試みた意気だけは買うが、残念ながら相当に力不足であり、全体的に見て読むに値する部分は少ないと思われる。まず、本書のテーマについて。著者は「適応度万能論に対するアンチテーゼ」(前書き)などと大上段に構えた書き方をしているが、実は、変動環境の場合でも平均適応度が最大の形質が進化する、つまり「『平均的に』最も強いものが生き残る」というだけの話に過ぎない。また、人間社会の議論に文化的要因の話が全然出てこないのは変だ。ビル・ゲイツの様な「にわか成金」が多額の寄付をするのは自分の適応度をあげるため(2章)などいう説明も、それこそ別の意味で「適応度万能論」ではないか、と皮肉りたくなる。さらに、ゲーム理論が経済学に応用されたせいで市場原理主義が台頭したと述べているが(14章)飛行機が墜落するのはニュートンのせいなどと言うに等しい詭弁ではないか。 そもそも、前書きの結びに、市場原理主義に基づき下請けや季節工を切り捨ててきた(ここでその是非は問わないが)大企業のトップの言葉を我が意を得たりと紹介しているようでは、著者に市場原理主義を超える思想など期待できる筈もない(余談だが同様の台詞は2001年の小泉首相の所信表明演説の方が有名では?)。 それ以外にも、章節の構成が雑然としており、頻繁に無関係のエピソードが挟まっていて混乱するし、著者独自の仮説が既存の仮説とどの程度異なるのかが不明瞭である。専門的知識に関する誤りも目立つ(例えば、タカハトゲームに関して第2章の説明にも関わらず、第14章でタカ戦略が常にナッシュ均衡になると誤った説明をしている)。 とくに後半に関しては日本語が怪しい箇所も多く、最低限のチェックすらされていないことがうかがえる。編集者の姿勢も問われて然るべきだろう。
20 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
生物界の生き残り戦略からみた現代社会への示唆,
By
レビュー対象商品: 新潮選書強い者は生き残れない環境から考える新しい進化論 (単行本)
強い者が生き残るのではなく、環境変化に対応できたものだけが生き残る。その最も有効な方法の一つが他者と共存することである。 この一つの仮説の蓋然性を生物界の様々な事例から説明し、さらには、これらを通じて現代社会へ示唆を試みており、興味深いものだった。 現代社会への示唆として、いくつか挙げてみる。 ・人間が社会をつくった動機は、「存続のための協力」のためだったはずだが、民主主義と自由主義が発達するにつれて、ナッシュ均衡(己の利益の最大化)を求める経済活動ばかりが目立つようになった。(一方で、こうしたゲーム理論の落とし穴にも触れている。) ・世界の資本は有限であり、経済は常に発展するものではない。短期的な投資は有限な資本の奪い合いであり、このようなギャンブル的行為は、経済的活動を崩壊させ、やがては文明をも滅ぼす。 ・金融資本主義は、短期的には強者に利益をもたらすが、長期的には強者だけでなく、弱者も含んだすべての人々に不利益をもたらす。 そして、「我々は長期的な利益のために、短期的な利益の追求を抑え、協同行動をとるべきであり、自由主義という名の下にナッシュ解を求めていったら絶滅しかありえない」とも述べている。 一方、本書を読んで考えたことは、他者と共存することとはどういうことなのか。同じ種、グループ、業界内での共存はできたしても、それが環境変化に耐えうるのだろうか。利己的な欲求を抑え、他者と共存しながら持続可能な社会を作り上げていくためには何が必要なのだろうか。特に今日の世界において、経済的な国境が消えつつあるなか、崇高な理念だけでは困難なはずだ。 自分にとっては難易度が高いものだったが、いろいろと考えさせられることが多く、何度も読み返しながらもう少し掘り下げてみたい一冊となった。
24 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
数理生態学から見た生物進化の解。ある意味冷酷、無機質な感動を覚える。,
By
レビュー対象商品: 新潮選書強い者は生き残れない環境から考える新しい進化論 (単行本)
「進化に地球誕生と太古の生命のロマンを感じたい」と願う一般読者にとっては見事に期待を裏切るというべきかもしれない。確率論と数学的検証で進化を(そもそも進化という言葉に、よりよき存在への昇華を目指すという意味合いすら揺るがせてしまう)種の維持の必然のプロセスでしかないのではと問うかのような内容です。ドーキンスの「利己的な遺伝子」の読後感のように、今まで神秘的と思っていた事柄をひっくり返します。適者とはは汗をかいて進化したものが手にした栄光でなく、単に環境と確率的に合致したランダムな突然変異の偶然なのか? 木村資生の中立説、自然選択と突然変異のタイムスパンの図など、興味深い。前半はこのような、正に著者の真骨頂ともいうべき素晴らしい説明で一般読者にも極めて理解しやすい。中盤に生物の形態、行動、歴史等その意味合いについて広範な解釈がなされます。個人的にはやや対象が広がりすぎて前半ほどの説得力が不足の感がありますが、この本の限定されたページ数で行おうとすればやむを得ないのでしょう。最後に人間の文化'文明の興亡とヒトの協力のあるべき姿について著者の見解があります。それがこの本のタイトル、「強い者は生き残れない」です。数理を説く著者の非常に感情が入った部分です。ただ、経済学、政治を環境、進化の数理的合理性から論じるにはやはり絶対的にページ数が不足です。そこが歯がゆい思いで、その行間を埋める努力が読者に求められます。誤解しないで下さい、それだけ素晴らしい内容ということです。是非一読おすすめします。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
|
|