◎内 容
もはや乱世を超えて「末世」の様相を呈している現代社会。
国土は疲弊し、庶民の生活は逼迫しつつある。
無常を感じる出来事も多い。
どう考えても、現代という末世は、幕末維新ではなく、
平家物語の時代に似ている。
朝令暮改をくり返す為政者たち(政府)、
批判するだけで何もしない貴族たち(野党)、
騒ぎ立てるだけで仕事をしない寺院勢力(学者・マスメディア)...etc.
そしてその戦い方は、男たちは刀を振り回す代わりに、
にこやかな微笑を浮かべながら他人を陥れ、陰口をたたき、
陰謀をめぐらし、おろかな大衆を扇動する。
また、戦うは男ばかりとは限らず、
女たちもまた、それぞれの戦いを生きている。
OLも女学者もキャバ嬢も、千年前からいたのであり、
働く女や玉の輿願望といった価値観の対立もあった。
本書では平家物語の登場人物をいくつかの立場・身分に分けて
その心の動きを眺めつつ読み解いていく。
同時に、物語の背景にある、いつの世も変わらない
人間の各階層のドロドロを描き出す。
◎目 次
はじめに 「現在」はいつも乱世
第1章 平清盛は悪人か
第2章 貴族という「官僚システム」の腐敗、平家の変質
第3章 院----「代行」という無責任な権力者たち
第4章 山門・南都寺院という火種----わがままな「知識」と「大衆」
第5章 戦う男を駆り立てるもの
第6章 女たちの物語
終章 「歴史」「物語」の使い方
◎著者プロフィール
長山靖生(ながやまやすお)
1962年茨城県生まれ。評論家。歯学博士。鶴見大学歯学部卒業。
歯科医のかたわら、文芸評論、社会時評など幅広く執筆活動を行っている。
1996年、『偽史冒険世界』(筑摩書房)で第10回大衆文学研究賞を受賞。
2010年、『日本SF精神史』(河出ブックス)で、第31回日本SF大賞を受賞。
著書は他に、『「人間嫌い」の言い分』『不勉強が身にしみる』
『「論語」でまともな親になる』(以上、光文社新書)、
『天皇はなぜ滅びないのか』『天下の副将軍』『テロとユートピア』(以上、新潮選書)、
『日露戦争』『大帝没後』『謎解き 少年少女世界の名作』(以上、新潮新書)、
『千里眼事件』『奇想科学の冒険』(以上、平凡社新書)など多数。
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