本書の表題の一部でもある「新しい戦争」というテーマは、カルドアがかなり以前からあたためてきたものである。本書の主たるテーマが、「古典的な戦争」から「新しい戦争」へ、という戦争の変容にある事は容易に見て取れるが、カルドアは単に主権国家間での戦争が内戦、低水準紛争、テロといった非国家的主体による戦争へと変化した事実だけを述べているわけではない。いつものことであるが、カルドアの分析の優れたところは、戦争という事象を恐ろしく多面的に把握している点だと思う。経済(軍産複合体、地下経済)との関係、アイデンティティの問題、NGOやマフィアの役割などなど。そして、カルドア最大の嘆きは、戦争と平和の境界線が無くなってしまったことに向けられている。こうした多面的な分析は、現場をよく知るカルドアならではのものではないか。カルドアは、しかし、絶望しない。あくまでも人間の理性を信じるカルドアは、具体的かつ高邁な対策を次々と私たちに突きつけてくるのである。