表紙を飾る森山邸は、誰もが強い印象を受けるに違いない作品と思われる。建物のつくられ方自体は鉄板構造で妹島氏の梅林の家の延長にあるわけだが、ここでは複数の建物による群造形といえるような住環境の提案となっている。
これまでのSANAAによる建物の外観上の特徴として、窓/壁の関係が抽象化されてることがあげられる。例えば窓としてのガラスと、壁としてのスチールパネルは同じ大きさ・割付・表面処理(フィルム貼など)で処理され、全体で一つのサーフェイスを形成する。このことは、近年竣工した金沢21世紀美術館の内外のガラス・壁面の処理にも徹底されている。
そこで今回の森山邸だが、白い壁にやや大きすぎる(?)窓を開けるという具合に、これまでの作品の外観とはやや異なる処理がなされている。これは窓/壁という関係性を(抽象化という方法ではなく)強く意識化した操作であるように思う。壁という存在を極限まで薄くしつつ、そこに大きな窓を穿つということが結果として壁の存在を強く意識させる。巻頭論文にもある作者の弁によると、大きな窓を開けるという操作によって「透明」で「開放」的な環境の提案となっているのだが、むしろ結果として強い存在となった(ように感じられる)壁のあり方に注目しています。