深刻なのは、生産性の低い仕事に就くが故に生活に窮している状態から、「いくら努力しても、いつまで経っても脱することができない人」が増えていることだと指摘する。さらに、こうした者同士が家族を形成すれば、自分の子供の将来にすら、希望が持てなくなる。著者はこうした負の連鎖を「希望格差」と呼び、この国の活力を急速に奪い取っていると憂える。
では、現在の日本社会に必要な平等性とは何か。著者は自由経済がもたらす「結果の格差」を認めつつも、市場原理にすべてを委ねることをよしとしない。競争原理を前提とする一方で、参入機会の平等、及び能力開発機会の平等をあらゆる人に担保することが、「希望格差」を緩和すると説く。収入の格差については、税や社会保障以外に、家族形態別に生じる不平等を補うような分配のシステムが必要だと訴える。非婚化や少子化、高齢化は、「希望を喪失した家族」の増加を加速させると警鐘を鳴らす。
(日経ビジネス 2006/10/30 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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