一部の株式投資愛好家に熱狂的なファンを持つ武者陵司が
現在と近未来の世界経済について見通しを語った本である。
評者なりに内容を乱暴に要約してしまうと、アメリカを
中心とした先進国の多国籍企業群が発展途上国の安価な
労働者から一種の「搾取」を行うシステムが確立された
ので(これを武者は「帝国循環」と名付ける)、多国籍
企業をはじめとした株式やドル建ての資産について
当面強気の見通しを維持できる、ということになろうか。
潜在的なリスクシナリオもいろいろと提示されている。
世界経済の現状分析としてはそれなりの説得力を持って
いると思うが、失礼ながら文章にあまりキレがなく、
通して読むと少々胃もたれした。武者の相場見通しが
当たるかどうかを注視しつつ資産運用を楽しむ評者の
ような個人投資家なら一度は読んでみてもいいと思うが、
より広範な読者に役に立つ本として紹介することは躊躇
せざるを得ない。評点は星三つに近い星四つにします。
余談だが、確か2004年だったと思うが、武者は正月の大発会で
一年間の株価の予想レンジを外してしまうという快挙?も達成
したことがある。今回の本の予想は果たして当たるであろうか。
武者ほどの見識を以てしても相場の見通しはなかなか
当たらないのだ。予想とはかくも難しいものである。