東南アジアを中心に広がりを見せるH5N1型鳥インフルエンザと、人への感染事例。本著は、この鳥ウイルスが変異して出現するであろうと予測される人型のインフルエンザの危険性を、著者だからこそ知り得る鳥ウイルスの最新の科学的知見を通して、訴える書である。この本の教えるサイエンスをたどれば、来るべきH5N1新型インフルエンザの強毒性、とくに全身感染や免疫過剰反応といった、通常のインフルエンザとは全く異なる病気の全貌を、否応なく納得させられるとともに、人型ウイルスに一歩一歩近づいている鳥ウイルスの変化に背筋が寒くなる。科学は嘘をつかないと言われる。我々はこのサイエンスが予測する恐怖から眼を背けてはいけない。著者らが本書で訴えるプレ・パンデミック・ワクチンの全国民接種を是非実現して欲しい。医療に少しでも携わる人には必読書と言える。