これは企画の勝利と呼べるTVシリーズだ。「このミステリーがすごい2009年版」のベスト・ワンに選ばれたばかりの東野圭吾のベストセラーをタイムリーにドラマ化。
新旧の街並みが混在する日本橋人形町で起こった殺人事件を刑事が追うが、よくあるサスペンス物とはかなり毛色が違う。
これは、心のこもった新機軸ミステリー。関係者や周辺の人々はこの地で生活する市井の人たち。彼らがつく嘘の数々、その先に見えるあまりに人間的な真実。
人ひとり殺されているにも拘わらず、毎回人間の情と言うものが炙り出されていく。
ドラマは、これを一話完結のオムニバスとし、しかも多種多彩な俳優たちをキャスティング、物語に味と幅を持たせている。
ステディカムで捉えられたカメラが早回しで動く、細かなカット割りで畳み掛ける演出が上手い。
事件の捜査の過程で重要人物として挙がった人たちの傷ついた心を救う。ニヒルな皮肉屋だが、クールな中にも流れている血は思いの外に温かい探偵役の刑事に阿部寛。これが実に良い。
もし、彼が演じていなければ、さぞ情緒的で感傷に過ぎた印象の強い、まるで異質な刑事ドラマとなったのではないかと思う。
ミステリーの中にも、毎回お約束のギャグ・ネタも盛り込んでの全10話。三浦友和、香川照之、原田美枝子、黒木メイサ、原田芳雄、夏川結衣、倍賞美津子、泉谷しげるら映画界を中心に活躍する俳優陣に、山下達郎による主題歌も魅力的だ。