村上かつら氏といえば、切ない胸が痛くなる作品を描かれることで知られている。
本書は、保育者向けの「コミック教本」という位置づけの本だ。
実際現場の保育者の声を元に描いたノンフィクションであり、一話一話に教育現場のテーマが取り入れられている。
氏の作品のイメージとは少し違うと感じるかもしれないが、もし氏の作品が好きならぜひ手にとってみてほしい。
”地に足がついた痛み”が感じられる本なのだ。
かつて描かれていたような若者のちりちりした痛みではなく、誰もが生活をしている上で感じるリアルな”痛み”だ。
私は、小学校で教員をしていたことがある。
現場に入った時の苦労は実に計り知れないものがあったが、「その時にこの本があったら」と感じた。
私が身をもって感じたことや学んだことが、全編にちりばめられていたからだ。
自分ができなかったことや抱いていた思いを思い出して、胸が熱く切なくなった。
この本は、そういう本だ。
「教本」という位置づけなので、保育者や教員しか読んではいけないようだが、一般人が読んでも十分に楽しめる。
特に保護者は、本書を読むことで、保育者や教員がどのような思いで子どもと接しているのかが分かるのではないだろうか。
保護者としても胸が痛くなるであろうエピソードもあり、最高の教本であり、エンターテイメントであると感じた。