タイトルから、新聞や雑誌で働く人に向けて、インターネットなどの新しいメディアの隆盛で何が変わるのか、を説いた本だと理解されがちだが、新聞雑誌にどっぷりはまっている関係者が読んでも「よくわからない」本になっている(と思う)。
例えば188P「ユーザーのウォンツに対して〜なにかしらの結果を出すという意味で、成果(コンバージョン)を上げるための施策がLPOです。これは、そのまま「ターゲットキャスト」に当てはまるセオリーだとわたしは考えています」という文章を読んで???な(理解できない)旧来メディア関係者は、読めば読むほど混乱するのではないだろうか。本全体のトーンが「知らない人」にとって少々不親切な記述法で一貫しており、インターネットに日々接していない人にとって、新語(カタカナ)を多様した文章は理解しずらいだろう。
「知らない人」をリアルに想定し、その読者が容易に理解できるような記述や構成でまとめた本ではない。
この本はマスコミ志望の若い人たちが読むと有益なのではないか。
就職には逆効果かもしれないけれども、メディア業界で働く自分の立ち位置を将来に渡って大きくつかめるような気がする。
個人的には、せっかく豊富な経験を持つ著者なのだから、もっと著者の経験を具体的に書いてほしかった。分析総論や嘆き(随所に無理解な出版人への嘆き描写がある)より、具体的なエピソードをもっと読みたかった。
レッスン21以降、アメリカのネットビジネスを紹介する部分はわかりやすかっただけに、著者が日本でやってきた試行錯誤をもっと細かく書いてもらえたらよかったのにと思う。
かつては本が好きな人が編集者になり、取材や文章書きが好きな人が記者になった。メディアが多様化した新しい時代にはその多様化したメディア(で流れる情報)が好きな人こそが編集者や記者(メディア関係者)になる。本は好きだけどインターネットに興味がないという人は、これからの時代の編集者や記者には向いてないだろう。
「旧来の編集者が印刷所への入稿のための知識をもっているのと同様、新しい編集者はCSSやXML、またDBのテーブル設計、あるいはUIにおけるAJAXの導入や仕様についての知識を仕入れる必要が出てくるでしょう(78P)」
仕事の出発点は「ものすごく好きなこと」。インターネットにのめり込んだ経験がない人はもうメディアの仕事に向いてないのだと思う。