出張の伴にと駅の書店で買い求めたものだったが内容には背筋が寒くなった。
というのもこの本に記されている情報、基本設定のもととなる情報はすべて事実だからだ。
この本はフィクションである。タイトルから察することができると思うがこれはジョージ・オーウェルの名作「1984」へのオマージュである。
舞台はかつて日本と呼ばれた大アジア人権主義市民連邦第三地域。
中国や朝鮮半島と一体化した世界最大の国だ。
名前が変わっただけで他は一見何の変わりもないように見えるこの列島では、人権擁護の名のもとに第二地域(統一朝鮮)の住人たちがささいなことを「差別」として糾弾、人権委員会やマスメディアによって対象者の人格や社会的立場まで丸ごと破壊される恐怖政治が行われていた。
それが明らかな冤罪でも関係ない。
第二地域民にとってそれは当たり前のことなのだ。
かくいう主人公も人権委員会に訴えられ、「日王」が住む皇居の隣、かつての日比谷公園にある「東京人権大学」で人権について学ぶ生活を強制されていた。
環境適応という名の断種手術の勧誘員がしつこくとも主人公は平穏な暮らしを続けられるはずだった。
しかし、「極東戦争」後に海外へ脱出したかつての日本人達が作った組織と接触したことで彼の運命は狂いはじめる…
人権擁護法と外国人参政権が組み合わさった後に出来上がった悪夢の未来を描いた作品としては本格的なものはこれがはじめてではないでしょうか…
政局が危うい今だからこそ読んでほしい一冊です。