私は、特に平原綾香のファンというわけではないので、このCDの存在を知ったのは、まだ、つい先日のことだった。その日、NHK・BS放送の「SOUND+1」という番組で、彼女が、「新世界」を中学校の吹奏楽部の生徒と共演しているのを見てすっかり気に入ってしまい、ただちにアマゾンで検索して知ったのが、このCDだったのだ。
「新世界」の原曲は、「家路」としても知られるドヴォルザークの交響曲第9番「新世界」の第2楽章なのだが、ゆったりとしたテンポの静かな緩徐楽章を、坂本昌之が、原曲とは見違えるようなスケールの大きいポップスに見事にアレンジしている。あの「Jupiter」も坂本昌之が編曲しているとのことであり、この人の、クラシックの名曲を聴き映えのするポップスにアレンジする技は、なかなかのものだと思う。平原綾香も、「Jupiter」では高音がギリギリという感じだったのだが、この「新世界」は、音域が「Jupiter」ほど広くはないので、余裕を持って、スケールの大きい好唱を披露している。
併録の「AVE MARIA」は、カッチーノ作曲によるもので、名旋律で知られるシューベルトやバッハ/グノー作曲のものと比べると、曲的には今一であり、これは、「新世界」を聴くべきCDだと思う。
ちなみに、アルバムの方の「my Classics!」の方を覗いてみると、相変わらず、「Jupiter」のときのような、クラシック曲カヴァー否定派の酷評が散見されている。私も、超の字が付くほどのクラシック・ファンなのだが、ポップスに姿を変えた曲は、もうクラシックとは完全に別物だと思う。一段高いところから見下ろして酷評するような論調には、全く同調できない。