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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
発想が凄い。,
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レビュー対象商品: 新世界より(下) (講談社文庫) (文庫)
この著者の作品は、ほとんど読んできたが相変わらず物語の発想と展開の速さには舌を巻く。今回の舞台は「黒い家」のように日常の中にある現実的な部分から恐怖 をにじませていくのではなく、完全に現実からはなれた、未来の日本という 設定で物語りは始まる。 もちろん、主役を含め登場人物のひとつは人間だけれども、もうひとつは この世界特有の生き物であり、この世界でいう「大事件」が発生して 人類の存亡をかけてメインの登場人物達が、多大な困難に遭遇しながら 乗り越えていくという、言葉にしてしまうとまったく単純なストーリーなのだが、 そこは貴志祐介先生。こんな平易な言葉では表せない、複雑かつ重みを 持たせた重厚な仕上がりになっている。 自分の勝手なイメージは「クリムゾンの迷宮」多人数バージョンなイメージも ないではないが、まずは凡人では思いつかない舞台設定の中で、本書の舞台となる 特殊な世界の歴史を徐々に明かしながらクライマックスに持っていくその構成力と スピード感に、ただただ驚くばかりである。 けちな自分は、文庫になるまでひたすら待ち続けてしまったのだが、文庫になってびっくり 上中下の三巻構成で、文庫であってもかなりの出費になってしまった。 しかし、そんなことよりもなによりも、会社の行き帰りで読もうと思ったが とまらず久しぶりに、自宅に帰ってもお風呂にはいりながら、休日も朝からぶっ通しで あっという間に読み切ってしまった。久しく感じてなかった、面白い本を読んだ後に訪れる虚無感というか、 物語りが終わってしまった悲しみを十分に感じていたので、自分にとっては 良作だったといえます。 ちょっとしたスリルな冒険を感じたい方にはぴったりではないでしょうか? SF嫌いの人でもきっと楽しめると思います。
44 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
貴志作品の、ひとつの到達点,
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レビュー対象商品: 新世界より 下 (単行本)
貴志祐介氏が、おそらくは相当の難産の末に生み出したであろう、久方ぶりの新刊です。小説のジャンル分けをするとすればSFになるのでしょうか。カズオ・イシグロ氏の「私を離さないで」、大友克洋氏の「アキラ」等に通じるものも感じました。 いわゆる念動力(本作では「呪力」と表現されます)を多くの人が持った時、どのような世界が表出するのか。使い古されたネタのようにも感じましたが、圧倒的な筆力でディテールを積み上げていくことによって、見事に異世界の構築に成功しています。 上下巻、千ページ以上を費やして紡がれる物語には、人間という生き物の持つ業の深さがいやというほど描き込まれており、安易な感情移入を許さない描写は爽快さやカタルシスからはほど遠いものとなっています。これは現在の、リアル・ワールドに対する著者の危機感の表れであることは想像に難くありませんが、それでも最後には、人は想像力という翼を振り開くことにより少しでも良い方向に進んでいくことができるのだという仄かな希望・期待が伝わってきて、胸が熱くなります。 読み手を選ぶという評に対しては、確かにその通りかもしれないとも思います。でも、これ程の読書体験は、そうそうできるものでは無いのでは?個人的には間違いなく今までの貴志作品のベスト、文句なしの最高傑作です。これだけの圧倒的な物語世界に身を浸すことができて、この値段は安すぎます。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
圧倒的な構想力に脱帽,
By 比企 俊太郎 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 新世界より 下 (単行本)
私自身も創作経験があり、並の小説ですと読後漠然と「この程度の作品なら私でも…」などと思うことが多いのですが、この作品は無理です。桁違いな構想力に裏付けられた大作です。悪鬼の登場や若い主人公たちの東京行きを通じて、上巻で一通り見てきた風変わりな設定の背景が次第に明らかにされます。なぜ日本の人口が5、6万で町も9つしかないのか。なぜ町には原始的な通信・交通手段しかないのか。なぜ学校が極端な管理体制の下にあるのか。 そして町の外に棲息する異形の動物たちのうち、最も人間に近いバケネズミの正体。「ひょっとすると…」とは思っていても、実際に種明かしされると、背筋に寒いものが走ります。 SFという形はとっていますが、深く人倫に根ざし、強い社会性を持った小説です。覚悟を決めて読んでください。
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