「口に近づけると、メロンや洋梨のような淡い果実の香りを感じ、口に含むと、ほのかな甘さが広がる。フレッシュでフルーティー。そして、舌の上に果実のようなさわやかな酸味が立ち上がり、なんの抵抗も無く、きれいに切れてスルリと喉に落ちてゆく」――本書の著者は、表題の「新世代日本酒」をこのように定義しました。
本書では、日本酒初心者にも比較的美味しさが伝わりやすいと思われる「新世代日本酒」を主軸に据えることで、日本酒関連書籍に多く見られる純米酒の燗を理想とする視点とは違った、新たな視点を導入しています。(念のために付け加えておきますが、本書の内容に特定の主張を貶める記述はありませんし、またこのレビューも同じです)
「人生最初の一杯」の重要性や、美味しい酒との出会い方など、これから日本酒を飲んでみようと思っている方にとっては、参考になるのではないでしょうか。
また細かい間違い(日本酒度の定義など)や記述不足に感じる部分もありますが、それらは本筋の内容とは余り関係ありませんので、さらりと読む分にはそれほど問題は無いと思います。
以上の内容であれば★×4の評価です。
ただ、問題は第6章にありました。
ここでは「新世代日本酒」「新世代日本酒と遜色のない注目の酒」として多くの銘柄が紹介されているのですが、明らかに上記「新世代日本酒」の定義にそぐわない銘柄が含まれています。
確かに紹介されている銘柄は人気も高く、多くの書籍等でも紹介されているような素晴らしい銘柄がほとんどです。
しかし、そうであったとしても、この本のコンセプトには明らかにそぐいません。そもそも上記のように新世代日本酒の定義を大仰に掲げているのですから、最低限そこに沿ったラインナップにするべきでした。
本書を読んで日本酒を飲んでみたくなった方が、新世代日本酒の定義から全く外れた銘柄を新世代日本酒として飲んでしまったとしたら、どう感じるか――その点は考慮していただきたかったと思います。
せめて「新世代日本酒の次に勧める酒」のようにカテゴリ分けをしていればまだ良かったのですが。
実際に新世代日本酒に興味を持った方は、紹介文の内容をよく読み、どれが本当の新世代日本酒かをしっかりと見極めてから購入されることをお勧めします。
(第6章の評価★×1.5)(総合★×3)