同人誌版からの内容は絵柄・文面ともに全て掲載されている上に
基本情報等が加筆されたりグラフがきれいになったりと、よりパワーアップしている。
「同人誌版の表紙の方が好きだったのに…」という人も、
諦めず表紙カバーをはずしてみよう。
もちろん、商業誌用の新規書き下ろしも、なんと半数を占める。
ボリュームとしては2倍、「萌えるヘッドホン読本」+「萌えるヘッドホン読本2」が
一緒になったと考えていいだろう。
肝心の内容については、
確かに紹介ページでは気鋭の絵師による
可愛い・美しい女性の絵柄が目を惹くものの、
文章については実に禁欲的で可能な限りの客観を目指した充実のレビューだ。
ことヘッドホンについていえば、個々の聴覚の差が大きく変わるため、
十人十色のレビューが存在し、真実の音が文字で伝わることは難しい。
さらに再生環境も変われば、もはや同一のレビューとすら思えないほどになることも。
この本で特筆すべきことは、すべての機種について1人でレビューを手掛けていることだ。
私もヘッドホンマニアのはしくれ、「?」と思うレビューも確かにあるのだが、
それでも、1人でレビューすることで各々のヘッドホンがもつ色合いや特徴が
筆者基準でどう変わっているか、がはっきりわかる。
そういった意味で、このレビュー内容は評価に値する。
ヘッドホンというのは、音響機器以前に、個性の強い楽器でもある。
その個性を愉しむのがヘッドホンの醍醐味であり、
この本は、その魅力を十二分に伝えてくれている。
狭くて深いヘッドホンの世界への入り口として、素晴らしい専門書だ。
現行市場で購入可能な機種がメインなので、
次回はアンティークやリミテッドエディション系のヘッドホンを集めたり、
はてまた空想科学ヘッドホン読本か…。
長年日陰を歩んできたヘッドホンマニアとしては、
今後の躍進を喜ばしく思うばかりである。