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新・考えるヒント
 
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新・考えるヒント [単行本]

池田 晶子
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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 「専門用語によらない哲学の文章表現」を目指すという独特の試みで、思想のジャンルに新風を送りこんでいる池田晶子。ユーモラスな哲学対話集である『帰ってきたソクラテス』や、ベストセラーにもなった『14歳からの哲学』などの著書で、より広い範囲の読者も獲得してきた。そんな著者が、学生時代から多大な影響を受けてきた小林秀雄の著書を、本を1冊丸ごと模倣して、随想集のスタイルで書き下ろしたのが本書『新・考えるヒント』である。

   著者は、小林秀雄の『考えるヒント』の各章のタイトルをなぞりつつ、さまざまなトピックについて考察を重ねていく。神の存在を信じる、という話題から掘り起こし、科学一辺倒の社会に警鐘を鳴らす「常識」。大衆に消費される言葉のあり方を嘆きながら、言葉の持つ魔術に改めて感心する「読者」など、全15編を収録。決してやさしい内容ではないのだが、小林秀雄ゆずりの洒脱な言い回し、適度な脱線、皮肉を交えているので、最後まで飽きずに読めてしまう。

   哲学的な事柄を日常の言葉を使って粘り強く書くという点では、従来の著作と同様だが、最後まで「批評」という形式に寄り添っているところが目新しい。また、小林秀雄からの引用文と著者の文章が、読み進むにつれて、互いに区別がつかなくなってくるのも魅力である。「小林秀雄が現代に生きていたら、こう言うだろうな」などとうなずきながら、ページを繰っていくのが、この本のもう一つの楽しみ方であろうか。(金子 遊)

内容説明

今最も注目の著者による書下し哲学エッセイ『14歳からの哲学』で衝撃をもたらした池田晶子が、精神の先達・小林秀雄の『考へるヒント』に就きながら独自の思索を展開する、根源的思考のための待望の一冊

登録情報

  • 単行本: 250ページ
  • 出版社: 講談社 (2004/2/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062121638
  • ISBN-13: 978-4062121637
  • 発売日: 2004/2/11
  • 商品の寸法: 19 x 13.4 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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28 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
腑に落ちた 2004/3/8
形式:単行本
 腑に落ちるという言葉がある。いまどき、あまり使われなくなったようだが、この本を読んで正にそう思った。
 毎度のことだがこの著者のものは考えながら読まないとよく理解できないため、時間をかけて何度も読み返すことになってしまうけれども、そうするとよくわかる。
 その通りで、当たり前のことで、ほんとうに私の腑に落ちた。

 いい書物だと思う。

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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
感想 2011/2/27
形式:単行本
 「その意を求めればきりがない言葉とは、すなわちひとつの謎である。したがって、発語するとは、謎を謎のままに踏み越える絶対的な動作であって、発語とは一種の宗教的な儀礼のようなものだ・・・古人たちは皆、言葉のこの謎、この絶対的働きを知り抜いていたから、言葉を畏れ、言霊を信じた。言葉が生活と結びついていたというよりも、言葉が生活そのものだったのである。(p110)」・・・・・・本書『新・考えるヒント』の著者、池田氏は、小林秀雄の文章に、このような発語・言葉を観た。
 そして、この種の発語・言葉は、「「学んで知る」ことなどできない、「思って得る」以外にはない(p165)」ものである。それらは、学んで知る事のみも可能な単なる理窟・概念・観念・理解・解釈と異なり、読者各人において、体得・会得・得心されるものである。
 本書では、池田氏が小林の発語・言葉を如何様に「思って得た」かが記されている。本書は、「言葉を媒介にして、聖人の精神と自己の精神とが、渾然と絡まり合いつつ動いてゆくのを味わう喜び(p128)」、「彼をも同じ「精神」と知りえた、すなわち彼を我と知り得た喜び(p195)」に充ち満ちている歓喜の書である一表情を有する。池田氏の歓喜は、池田氏の文章における説明の巧拙の次元とは何ら関係なく、池田氏の肉声として、「理解を越えて、人の心に届く(p239)」であろう。

 が、しかし・・・、この様な書においてすら、と言うか、この様な書であるからこそ、池田氏が抱いた、みずからの文筆生活・言論生活自体に対する困惑の表情も顕わである、と私は感じた。
 池田氏は、「われわれの時代はよく乱れているけれども、アテナイの末期や小林の頃よりもとくに乱れているわけではない。乱れているのは、世が乱れていると世を責めるその人の自己だ。(p9)」と喝破しつつも、次の様に述べてしまうのである。
 「小林が亡くなって二十年、私が成行きで文筆の仕事を始めて十五年、・・・業界の構造はまるきり変わっていないけれども、堕落は加速がついている。文壇ジャーナリズムの愚劣を、小林が苦々しく思っていた当時よりも、おそらく事態は数倍ひどい。(p42)」、「小林は当時すでに事態を予測していたに違いないが、平成の現状を知れば改めて驚くに違いない。なんとここまで壊れ果てたか。(p116・117)」、「言葉の価値は、下落の一途である。(p244)」、・・・とも指摘するのである。
 無論、これらの指摘は事実なのであろう。池田氏の指摘のように、書く側も作る側も読む側も堕落・愚劣の極地にいるかの如き証左となる出版物に、現況、我々は包囲されているのであろう。
 しかし、池田氏ならば、この種の外的一現象なぞどうでもよい、とも言えた筈だ。池田氏の文章に、この種の個々の現象に対し、過剰反応したかの記述を認める事は出来ようが・・・

 では、池田氏における困惑、嘆息を帰結した本質的な、根源的な問題は何か?
 池田氏は、小林の愛読者であるならば遭遇するであろう言葉、遺作『正宗白鳥の作について』における一文、「批評は原文を熟読し沈黙するに極まる」、との言葉を眼の当たりにし、その言葉の姿に魅入られたのではないだろうか?一目、その真意は判然とはしないが、確かに、小林の、精神の刻印の極みであるような言葉、この言葉について、池田氏は、胸中深く、自問自答を繰り返さざるを得なかったのではないか?
 「ああこの人は確かに人間の精神に触れている、その不思議をこそ見つめていると信頼できる人は、本当に少ない。そういう人は、ちょろちょろメディアなんぞに現れず、深く隠れているのだと信じたい。(p118)」、「本当に考えている人は、おそらくは、さほど世の中には出ていない・・・私の場合は、たまたま少々文章が書けるので、それを表現しているだけである。(p141)」、「考えている人ほど黙っている。黙って学問をしているはずだ(p150)」、「わかる人にはわかるんだからいい。でも、それなら文章なんか最初から書かなきゃいいのです。(p234・235)」、「思考によって思考を語ろうとして空転する、そういうところに陥りがちな私(p237)」といった記述に、私は、その痕跡を観る。

 「十年後、二十年後のあなたとの出会いは、今度はどんなふうでありましょうか。(p242)」と本書で小林に問いかけた池田氏、・・・が、本書執筆約三年後、二〇〇七年二月、池田氏は、この世を去った。時熟の秋は来なかったのである・・・・・・

 しかし、それでも尚、・・・「人生それ自体がひとつの思索と化す(p95)」、そのような生を駆け抜けた池田氏の一生、「言葉を命と知るがゆえにそう生きざるを得なかった者たちの生・・・想うほどにそれは・・・われわれの生死を越えている(p54)」。

 本書を再読し、改めて、哀悼の情を・・・、冥福を祈るばかりである。
このレビューは参考になりましたか?
18 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「14歳からの哲学」を書かれた池田晶子さんの新作「新・考えるヒント」のご紹介です。この本のテーマは「人生を考える」ということですが、なぜ、この実践的哲学表現の書を、女と男の物語にもってきたかというと、これは読んでお楽しみなのですが、小林秀雄氏と池田晶子氏の魂のコラボレーションともいえる本なのですね。

小林秀雄氏の精神に恋焦がれ、「一方的なランデブーを敢行してしまった」という池田氏の、最後の「小林秀雄への手紙」という章を読んだとき、思わず、素敵!と思ってしまったわけです。人生の悦びは、知ること、考えることを体験し、過去の人々の精神と情交すること。

「小林秀雄と池田晶子、ふたりに思惟する精神の、宿命的出会いが生んだ<正しく考えるためのヒント>」女と男のことにしてしまったら池田さんには申し訳ないのですが、でもやっぱり最後の熱いラブレターは、これは男女ならではという、何ものかを感じるのですね。私もこのような魂のコラボレーションのできる人がいて、表現する機会があったらこの上なく幸せでしょう。
また、この本はほんとうに人生を考えるという人間の喜びの深さを味わえるのです。とにかく、うーん。大人っていいな、と思える本ですよ。

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