前著に引き続き、本書を貫くテーマは世界の有限性、世代間倫理、生物種の生存権の3点。世界は有限だから、枯渇型資源への依存と廃棄物の累積を回避しなくてはならない。世代間倫理、つまり未来の世代に対する責任があるから、持続可能性の確保が必要となる。同時に、人類の生存条件を左右し得る生物多様性の保存が重要になるとの主張である。
こうした主張を繰り広げる中で、研究者・学者の論文、書籍を数多く取り上げる。例えば、自然保護に関して、永続的な自然利用を目的とする「保全」説を唱えたピンショー、自然の美と尊厳を守るための「保存」説を唱えたミューアの論文を紹介。様々な主張・意見を知ることで、環境に対する多様な視点が得られる。
貧困をなくす仕組み作り重要
前著からの14年間で最も大きな変化である京都議定書については、その意義や限界、本来あるべき温暖化問題の責任分担などの問題にも触れながら、特にページを割いて詳しく説明する。
米国が離脱し、中国やインドなど新興国が削減義務を負わない京都議定書は、既に実効性のある対策とはいえない。著者の目は、京都議定書後の世界における温暖化対策の仕組みに向いている。
例えば、国際的な炭素税システムを導入すべきとの主張がある。炭素税という市場経済モデルの中で、地球に住むすべての人を対象とする温暖化対策を取るのが狙いだが、著者は地球には市場経済以前の状態で生きている人が大勢いることを指摘。貧困をなくすことに世界が責任を負う仕組みを作って、その中に温暖化防止を組み込む形でなければ、途上国の協力は得られないと主張する。
環境問題の解決には、技術開発やデータ分析などのノウハウだけでなく、広い視野で社会や世界に合理性のある政策と対策は何かを追求する姿勢が不可欠。本書は、総合的な視点で環境問題を読み解くきっかけを与える1冊になる。
(日経エコロジー 2005/12/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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