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54 人中、39人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
既存の国家肯定論に欠如していたものを担う,
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レビュー対象商品: 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361) (新書)
本書は、「ナショナリズム=悪」という既存の人文科学の流れに、大きく疑念を呈しつつ、それを丁寧に解体していく議論を展開している。既存の国家肯定論は、渡部昇一らに代表されるように、エモーショナルに、そして時局に応じたレスポンスという形で展開されることが多かった。 しかし、萱野の議論はそれら、浅薄で絶叫するような国家肯定論とは一線を画す。あくまでも論理的に、国家を論じていく。 特に、ドゥルーズ=ガタリらを援用しつつ、丁寧に国家、ナショナリズムを肯定していく姿勢は脱帽する。どこまでも論理的で、明確な論旨を 的確に展開していく。姜尚中や上野千鶴子らの議論の誤謬を正確に指摘する流れも渡部ら既存の国家肯定論者の誰の議論よりも説得力がある。 本書で批判されている誤謬だらけの左翼はもちろん、この水準の国家論を今日まで展開できなかった右翼の知的堕落をも抉り出す、 2011年度新書の中でも、間違いなくトップクラスの一冊である。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自由でいるためには不自由でいざるを得ないという矛盾のこと。,
By bitter sweet symphony (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361) (新書)
著者は1970年生まれの哲学者・津田塾大准教授。個人的に以前から持っている「近代以降の自立し権利を付与されたヒトがその共同幻想/「想像の共同体」に支えられて存在していることの解消できない矛盾をどう考えるか」という問題設定の前提があながち間違っていないことの再確認になりました。本書の著者がもっている日本の知識層のナショナリズムに対する(正逆両側への)アレルギー反応への違和感も概ね個人的に共有できている印象はあります。◇以下抜粋 ・国家は国民の生活を保障しなくてはならないという観念は、国民国家が形成されてくるなかではじめて実効性のあるものとして定着してきた ・貧困による社会的排除から身を守るために「日本人」というアイデンティティに強く依拠するようになる ・ナショナリズムのヒステリー化を抑えるためには、別のかたちでのナショナリズムをそこに対置しなくてはならない ・沖縄に「国民国家を超える可能性」を見いだそうとする知識人をみると、脱国民国家の言説は裏返しの植民地主義なのではないかとすら感じてしまう ・国家は、産業社会の要請にしたがって、領域内の言語を統一し、標準化し、教育制度を整えて、そこで標準化された言語や基礎的な知的・技術的能力を人びとに身につけさせた。それがさらに産業化をおしすすめ、社会の流動化を高めていったのである ・人びとの流動性を確保するためには、身分制の撤廃という平等主義的な政策が不可欠なのだ ・「近代社会は、平等主義的であるが故に流動的なのではない。流動的であるが故に平等主義的なのである。」 ・ネーションの成立とは国家ありきの歴史的プロセスなのだ。ネーションの成立にとって、国家がみずからの領域内を資本主義経済が発展するための社会空間へと再編成したことは決定的なのである ・ナショナリズム批判や脱国家論の多くが暴力の問題を無視することができるのも、こうした暴力の希薄化という歴史的プロセスがあるからこそである。その歴史的プロセスをつうじて国家は国民化してきた。つまり、反ナショナリズムの言説そのものが国民国家の歴史形成過程に依拠したものなのである。
12 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
旧著『国家とはなにか』の欠点が、見事に克服された快著。,
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レビュー対象商品: 新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書 361) (新書)
著者の旧著『国家とはなにか』のレビューに、前半は切れ味鋭く面白いのに、後半はフーコーとドゥルーズ=ガタリの引用ばかりが続き、まるで解説本の ようになってしまっているのがいかにも残念だったと書いた。(また、そもそも 『国家とはなにか』という問題設定自体が抽象的過ぎて、思想系に興味のある 読者以外は、やや手に取りにくいものだったということも言えるかもしれない。) おそらく編集者が同様の注文をつけたのだと思うが、本書はそれらの欠点が 見事に克服されているばかりか、旧著からの6年間で急速に進んだ「格差」の ような身近な論点を理解する上でも、実はナショナリズムをきちんと消化して おくことが不可欠だということを、一般の読者にもわかりやすく説いている という点で、きわめて優れていると思う。結末部でファシズムを取り扱い、 冒頭で取り上げた格差の問題と円環をなすように終わるという構成も素晴らしい。
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