本書は核融合研究の先端を分かりやすく解説したものである。理工系大学を目指す高校生にも容易に理解できる。核融合を実現するには、まず重水素と三重水素のプラズマ状態を把握する必要があるが、日本はその分野で世界トップレベルの研究水準を持っていることが本書で明らかにされている。さらに、プラズマを作り出すに必要な粒子ビーム加熱装置、不純物を除去するダイバータなどの基盤技術でも日本は最高水準を持っている。ものづくり日本の面目躍如だ。
さて、核融合発電の実現はいつだろうか。国際熱核融合実験炉(ITER)は2019年頃から稼働し始める。数億度の高温プラズマを100秒維持する目標の達成が期待されている。それに続くのは、各国が独自に建設する発電を伴う原型炉である。実際の運転は2040年頃になるだろうか。
ただし、化石燃料の枯渇は始まっており、フクシマ事故で核分裂炉に対する信頼が揺らいでいる。しかし、再生可能エネルギーは十分な電力を供給してくれるとは思えない。そこで注目されているのが無尽蔵のエネルギーを確保できる核融合発電だ。エネルギー危機が迫るほど核融合への期待は高くなり、その実現は前倒しになるであろう。
爆発する世界の人口を考えると、エネルギー源の確保は不可欠である。核融合発電の実現の可否が人類の運命を握っていると考えてもよい。優秀な理工系頭脳を有する若者が核融合研究の世界に入っていくことを楽しみにしている。
君が将来を決するのだ。