歴史上の珍説、奇説を怪しげなライターが唱え、本来反論すべき歴史学者が言い負かされると言うシリーズの第三弾です。本来市井の歴史好き如きに屈服する学者などありえないわけで内容的には荒唐無稽でも、突飛な説と過激な言葉のやり取りこそが本シリーズの魅力と思っていました。本作に於いては過激なやり取りが影を潜め主役二人は仲良しになってしまいました。毎回無理やり余計な第三者を連れてくる羽目になっていますが、前2作ほどの丁々発止のやり取りにはなりえていません。どうも前2作を書いたときに比べ本気で作者が突飛な説を信じ出したか自分の能力を勘違いしだしたのかもしれません。主張ばかり鼻に付きあまり出来がよくないように思われます。小説として面白さは前2作より落ちます。それと本作には第1作の「邪馬台国はどこですか」を読んでいないとよく前提が分からない作品があります。きちんと作品ごとに完成したものにすべきです。先に書いたとおりの主役二人の人間関係の変化もまともな説明がありません。
「真珠湾攻撃の不思議」については結局何が言いたいのか分からない中途半端なものになっています。「写楽の不思議」は明石散人の「東洲斎写楽はもういない」の内容から一歩も出ていません。