義父が某がんセンターで手術を受け、その後「もうなにも治療できません」と言われて9ヵ月後に無念の死を遂げてから、
この国の医療、特にがん医療はおかしいと思い、目に付いた医療書を読んできた。
その中で、近藤誠医師の著書が一番正直に医療界の実情を吐露していると感じ、今は手当たり次第に彼の本を読んでいる。
この本は、その中でも、抗がん剤に特化して書かれているが、かなり刺激的な書き方である。しかし、これは著者の、我が国における
抗がん剤治療のいいかげんさに警鐘を鳴らすための手段だと思う。
がん治療を啓蒙する書物に加え、最近はテレビ番組もあるが、どれも抗がん剤を安易に推奨している。しかし、抗がん剤の実態は
本質的に「細胞毒」であり、がん細胞と同時に正常細胞も攻撃する毒であることは紹介されない。
近藤医師は一部のがんに抗がん剤は有効ではあるが、固形がんには全く効果はないと言い切っている。しかも、抗がん剤が医薬品として
認定されるには、がんが一定期間に少しでも縮小した例が2割あれば良いのだという。つまりがんが必ず治るわけではない。
抗がん剤の副作用は患者にとって辛く、むしろ抗がん剤を投与しないほうが生活の質が向上する事が多いとも記している。
こういうことを知れば、安易に抗がん剤治療を受ける気になるだろうか。近藤医師が放射線治療の専門家であることを差し引いても、
抗がん剤治療の危険性は無視できないと思う。
巻末に全ての抗がん剤について、その副作用が詳しく載っている。読んでいるだけで気持ちが悪くなってしまいそうだが、万一自分が
がんに侵され、抗がん剤を勧められたら、真っ先に確認すべきことだと肝に銘じた。
この本は、できれば定期的に改訂版を発行して貰いたいと思う。