1950年〜60年代の、昔なつかしい香りのするSF、ホラー、“奇妙な味”系の海外短篇を収録したアンソロジー。『幻想と怪奇』というタイトルに釣られて、つい手が出て購入していました(笑)
全部で十七の収録短篇は、次のとおり。
◆ローズマリー・ティンパリー「マーサの夕食」 ◆ゼナ・ヘンダースン「闇が遊びにやってきた」 ◆ロバート・シェクリイ「思考の匂い」 ◆チャールズ・ボーモント「不眠の一夜」 ◆ジョージ・フィールディング・エリオット「銅の鋺(わん)」 ◆ゴア・ヴィダール「こまどり」 ◆アンソニイ・バウチャー「ジェリー・マロイの供述」 ◆アラン・ナース「虎の尾」 ◆フィリップ・ホセ・ファーマー「切り裂きジャックはわたしの父」 ◆リチャード・ウィルスン「ひとけのない道路」 ◆ウィリアム・テン「奇妙なテナント」 ◆マンリー・ウェイド・ウェルマン「悪魔を侮るな」 ◆A・M・バレイジ「暗闇のかくれんぼ」 ◆リチャード・マシスン「万能人形」 ◆ロバート・ブロック「スクリーンの陰に」 ◆レイ・ラッセル「射手座」 ◆ローズマリー・ティンパリー「レイチェルとサイモン」
異星に不時着した主人公が、その星の特異なライフ・スタイルに触れ、困惑する面白さ。ワン・アイディア・ストーリーながら、軽妙な筆致と展開で読ませる・・・・・・「思考の匂い」
拷問の恐怖を扱った作品として、コナン・ドイルの「革の漏斗(じょうご)」(『ドイル傑作集3 恐怖編』新潮文庫所収)以来、久しぶりにぞっとさせられた・・・・・・「銅の鋺」
存在しないはずの“13階”に振り回される主人公。初めのうちは無視することで済んでいたのが、やがて、そうもいかない状況に追い込まれてゆく。その成り行き、展開に、スリリングな妙味を感じた・・・・・・「奇妙なテナント」
主人公の男が恋をした、美しい女性。しかし、その言動は明らかに変だ。彼女の気がふれているのか、それとも、彼(主人公)の思い違いなのか。不気味な話の果てに待っているオチの肌ざわり、そのファンタジックな風情が印象に残る・・・・・・「レイチェルとサイモン」
なかでも、この四つの短篇が面白かったな。
本書に二篇収録されているローズマリー・ティンパリーの短篇では、「クリスマスの出会い」が素敵な逸品。アンソロジーの出来栄え、収録作品の面白味ということでは本書以上の『ロアルド・ダールの幽霊物語』に収められています。“奇妙な味”系列の短篇に関心のある方、そちらもぜひ!