本書はやや街ガイドっぽい体裁になっているが、意図するところは社会学的な文脈に沿った都市評論だ。
そのネタとして、下北沢・高円寺・秋葉原・小布施(長野県)が雑感的な対談のなかに取り上げてられていく。
方向性としては隈氏が過去に共著を為している三浦展らの視座と近く、全体的にやや旧聞に属する感はある。
とはいえ、有数のネームバリューを持つ建築家が資本投下型の空間に飽いていることを再確認できるという意義はある。
願わくば、その方向で建築家としての実践を期待したいところ(資本の伴走がないという根源的困難に直面するだろうが)。
なお、小布施は面白い場所だが、他の三つの街の延長線上にはない気がした。たとえ「ムラ」という補助線を使っても。
対談者の清野由美が言及したように、「旦那」という代官山同様のキーエレメントがあり、特殊な成功例のように思える。