本書は『56の真相』を持っている人にとっては、あえて買うほどの付加価値はないと思う。旧来の箇所には増補改訂もなく、4項目増えたのみである。ただし、フラットウッズモンスターに関心があるならば別で、必須資料になるだろう。
『56の真相』込みで評価するならば、やはり和製デバンキング本としては最高に位置する。なかでも加門正一氏のレポートは、どれもこれも超一級で、とりわけ、岐阜のポルターガイストと、ポプキンズビル事件の調査はあまりに重要。このあたりは、海外の懐疑論者に紹介すべき質である。
また、皆神龍太郎による海外の、地味で堅い超心理学についての解説を含む「ガンツフェルト実験」の項目も、類書の追随を許さない。日本の疑似科学批判者は、86年のホノートンとハイマンの記念碑的共著論文どころか、ガンツフェルト実験すら知らなかったりするため、ワイズマンの反論まで紹介するというあたり、かなり素晴らしい。他にも超能力捜査官についてが秀逸で、クロワゼの水死体事例の調査は相当なレベルである。
そういうわけで、こういった文献が国内で出版されていくようになれば、日本は超常現象全般の批判的研究の超後進国状態から脱却できるのではないだろうか。
56を持っている人は、購入予定本の優先度は下位でよいと思うが、持っていない人には、ぜひお勧めしたい。読み物としても面白い。