きらくかんには通ったことがありますし、妊娠中の体を整えるという意味ではこの本で役に立つ
部分もあります。(きらくかんの整体には必ずしも通う必要なかったなと今となっては思いますが)
ただ、子育てに関しては「それはないでしょ〜」な記述が目立ちます。
これを真に受けて参考にする人が果たしてどれくらいいるのか疑問。
でも自分の経験上、妊娠期間ってなんでも素直に信じやすくなる時期だと思うので、妊娠中にこれを
読んで「子育てもこのとおりにしよう」と固く信じる人がたまにはいるかもしれないとも危惧し、
どこが変なのか指摘しておきます。
・著者いわく「胎便を出し切ることが大事なので、母乳と水(できればレモンを一たらし)しか与えて
はいけない」そうで「胎便を出し切らないと湿疹が出る」とのことだが、「胎便を出し切らない」とは
どういうことなのか疑問。
しっかり母乳またはミルクが飲めていれば胎便は排泄されていくのが道理であり、出し切るとか出し
切らないとかいう話にはならないはず。胎便が腸に吸収されるとかいう考えなのだろうか?
レモンが必要になる理由も不明。
・赤ちゃんに与える水は、白湯ではなく生水がよいというが、そもそも母乳の子に白湯や果汁など母乳
以外のものは必要ないというのが現在の医学的定説。
また、新生児の胃腸が生水に含まれる雑菌にさらされるリスクを冒してまで生水にこだわる理由が不明。
ミネラルウォーターを使えばよいと書いてあるが、赤ちゃんの腎臓にとっては母乳のミネラルバランスが
最適で、粉ミルクもそのバランスを真似て作られているのであり、ミネラルウォーターのミネラルバランス
は赤ちゃんの腎臓の負担となる。著者は肝臓さえよければよいというスタンスのようだが、腎臓も呼吸器
も胃腸も大切。また、長期授乳を批判しているが、母乳の栄養や免疫物質により子が受ける恩恵は、授乳
期間が長いほど大きくなり、母乳に含まれる免疫促進因子によって子の免疫力がアップすることを知らない
で書いているとしか思えない(「母乳は1歳すぎたら水と同じ」とか思っているのかも)。。
・新生児の黄疸がママのお散歩不足という説もかなり疑問。黄疸には病的なものとそうでないものとが
あるが、どちらも問題だということなのか?しかしビリルビンには抗酸化作用もあり、子どもにとって
利点もある。生理的黄疸に限っていえば「お散歩不足だから黄疸になったのだ、問題だ」というほどの
ものではないはず。
・「出ないおっぱいはない」といい「出ないのは頭や目を使いすぎているから」と単純に理由付けして
いるが、母乳分泌のメカニズムを無視した出産直後の母乳指導環境により人為的に出なくさせられている
場合が大半であり、母親自身のせいではないことは知っておいていただきたい。
・この著者が批判する「泣いたらおっぱい」や「飲みすぎはよくない」という説はやや古く、「泣いたら
おっぱい」では与えすぎだという批判は、到底受け入れられない。
現在では「泣く前におっぱいのサインが出ているので、泣いてからおっぱいでは遅すぎる」というのが
定説になりつつある。つまり「泣いたらおっぱい」でさえ、赤ちゃんを無視・放置しすぎなのであり、
泣いてから欲求を考えて、迷った挙句おっぱいを与えないような育児を推奨するのは危険。
『よいおっぱい、悪いおっぱい』という言葉もあるように、赤ちゃんにとっては目の前にあるおっぱい
を求めてももらえない場合、その目の前のおっぱいは悪の象徴となってしまう。
それこそ、この著者の批判する「赤ちゃんのサインを無視した育児」ではないか?
・「おっぱい泣きは華やか」と決め付けているが、私の経験では正反対のように思う・・・。これに
関しては『赤ちゃん語がわかる魔法の育児書』という本にも逆の記述があり、そちらの方が納得できる。
もちろん、そこまで泣かせるほどおっぱいを待たせるべきではない。
・「添え乳」をだらだら続けるべきではないと言い、理由として「眠りが浅くなって疲れやすくなるから」
というが、母乳産出のメカニズム(ホルモンの関係上、夜の授乳が大切であること)やこのホルモン
(プロラクチン)の働きにより細切れ睡眠でもぐっすり寝られて疲れがとれることをわかっていない。
私の経験では、産後1年を過ぎる頃までは、夜中に何度授乳しても疲れを感じず、一日中ほとんど眠らなくて
も平気だったが、この著者はそういう経験がないのだろうか・・・。
添え乳をしなくても、結局オムツ替えで夜中に起きたり、授乳期間が終わっても、夜中にトイレに連れて
いかなくてはならなかったり、親になるというのはそういうことなのだ、と受け入れればいいのにと思う。
夜授乳していれば、ホルモンが働くのでかえって楽だということを知っておくだけでも違うのに・・・。
・長期授乳に育児上の問題があるかのように書いているが、著者自身が言うように、もっと子どもの欲求を認め
受け入れてあげればよいのにな〜と思う。世界の平均卒乳年齢は4歳2ヶ月であり、母乳育児が盛んな地域での
きょうだいの年の差は平均4歳。人は本来このように作られているのだというふうに考えればいいと思うのだが、
著者は自分の子が4歳11ヶ月になるまで授乳していたことを自己批判し、2〜3年次の子が授からないからと
いって「二人目不妊」と問題視している。
しかし、4歳というのは平均的な普通の長さの授乳期間というべきで、特別長期というほどでもないし、「問題の
ある育児」だったのかどうかはずっと後になってみなければわからないのであり、また、何をもって「問題のある
育児」なのかは別に整体の先生に決めてもらう必要はない。それより今ここで、母親が自信を持って育児に取り
組めることの方がはるかに大事であって、この時期の母子にかかわる職業なのであればそこは自覚してもらいたい。
今この時点で問題のない親子に対して問題があるかのように言いがかりをつけて不安にさせるこの著者の態度の方が
問題なのでは。
二人目不妊や性生活についても、「女性の体はこのように変化するようにできているのだ」と考えればいいところを
ことさら問題があるかのように取り上げて人為的に(整体に頼るように)解決しようとしている感じがする。
まだまだありますがキリがないのでこのへんでやめます。
全体的に、この著者ご自身が、「問題のないところに問題を作る」「ありのままを見ない、理解しない」という方なの
かなという印象です。野口整体の古いマニュアルにこだわりすぎているように思います。
せっかく4歳11ヶ月までお子さんに授乳を続けてあげたのに、商売にならないからってその経験を切り捨てるのは
非常にもったいない。また、ホルモンに関してもう少し生理学的な勉強をしてもらいたいです。
そうしてはじめて「オンナヂカラ」を語るに足る整体の先生になれるのでは?