私も数年前、研修医でした。1巻の頃の生活苦、医局の陰鬱さを描いた話は、誇張があるにしろ大筋はその通りでとても共感しました。でも、それ以外の医療/治療についての作者の知識が稚拙すぎて次第に読むに耐えなくなっていきました。新シリーズはまだまし、ときいて読んでみましたが更に医療の取材の質は悪くなる一方です。作者は果たして取材をしているのですか?本当に現実の医療現場と話をしているのですか?「マンガだから」と取材や事実確認をおざなりにしてセンセーショナルにしている姿勢が垣間見えてきます。このような稚拙な情報誤認や思い込み取材は新聞や雑誌では許されないことなのに、「マンガだから」と甘えが感じられるのが残念でありません。
彼はこの作品を読んだ人が「マンガだから」とは思わずに「これが事実なんだ」と思い現実の医療現場にその知識や印象を持ち込むことを理解しているとは思えません。これを読んで透析や移植の間違った情報を得た患者やその家族は、現実の医療現場で決して「ブラックジャックによろしく」にこういうふうに書いてあったとは言ってはくれません。マンガから情報を得たという事はまだまだ社会的には認知されていないからです。しかし医療側と実際に接する時には、我々が何を言おうと「ブラックジャックによろしく」に書いてあることと違うなと心の中で思い、我々に不信感を強めます。どこでその間違った情報を得たかを医療者側に伝える事もないために、医療側には反論のデータを示すチャンスすら与えられないのです。両者の不信感だけが強まって行きます。
結果的には誰がこの状況で最も損をしているとおもいますか?
この作品の読者です。
作者が自分の持つようになった社会的影響を自覚するべきだと思います。
「マンガだから」という甘えはもう通用しないのではないでしょうか。