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新ハムレット (新潮文庫)
 
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新ハムレット (新潮文庫) [文庫]

太宰 治
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 308ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1974/03)
  • ISBN-10: 4101006121
  • ISBN-13: 978-4101006123
  • 発売日: 1974/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
太宰?
なんか、背表紙黒いしわけわかんなそう。
そう思っている人、実は多いと思います。
作家のイメージが先行して、
「私は自殺するような男は嫌い」
「太宰ってなんか敷居が高そう」
こういう人、もっと多いでしょう。

太宰の底力を知らずして食わず嫌いしてはいけません。
太宰なりにリミックスしたハムレット。
シェイクスピアのに比べて

シンプルにして深遠に仕上っています。
ハムレットだけではなく、
キャラクターの全員が抱え持つ内面の闇が
一層濃くなっています。

最近自分の中の闇の存在が
気になってしょうがない人。
太宰の闇はあなたを待っています。

このレビューは参考になりましたか?
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
良作揃い 2005/11/17
形式:文庫
学校以外で太宰作品に接したのはこの本が始めてなんですが、かなりイメージとは違った作品でした。

太宰治というと、薄学な僕には自殺した作家で薄暗いイメージしかなかったのですが、少なくともこの一冊にはそうした薄暗い印象は受けませんでした。

「新ハムレット」は現代風に、戯曲の形を採りつつ原作よりも軽いタッチで描かれており、非常に読みやすいです。

僕が一番気に入った作品は「乞食学生」です。

その場凌ぎで中途半端な作品を出し続け、何とか作家をしている人生に疲れている主人公が、一人の青年と出会い、内に秘められた青年時代のまっすぐな情熱を確認する・・・

どの時代のどの大人にもこういう感情はどこかしらあるんだろうな・・・と感じさせられる作品でした。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ちっちゃいおばちゃん トップ1000レビュアー
形式:文庫
太宰治は、無から有を産み出すタイプの作家ではありません。
彼の創作には、想像力を刺激する、何らかの具体的な素材が必要です。
その素材となり得るものは、世界文学の名作。愛人の日記。果ては自身の実人生での体験まで、ありとあらゆるもの。
それら、創造の叩き台となるものを、彼一流の批評眼でするどく分析して、手を加えるべきポイントを定めると、あとは才能の赴くままにペンを走らせる。
そういう創作術だと私は想像しています。

そんな太宰の創作過程が手に取るように分かる異色の一篇が実は存在します。
それが他ならぬこの文庫に収録されている「女の決闘」

「女の決闘」は、この作品の冒頭で太宰自身が解説している通り、森鴎外の同名の翻訳短編小説が素材になっています。
鴎外版「女の決闘」の、かなり長い部分を引用しながら、太宰は、この小説についての分析を始めます。(これが大変面白い)
やがて彼は、この小説には何か居心地の悪いところがあると指摘し、この作品をもっと「すわり」のいいものにするため、自分が手を加えて書き直してみようと言いだします。
そして、本当に、手なおしを始めるのです。
嬉々として。自信たっぷりに。

自信。そう、本当に自信たっぷりなのです。
口では、自分のような拙い作家がこんな名作に手を加えて申し訳ない。すみませんすみません。と、彼独特のしおらしさで、原作者に謝っていますが、
そんな謝意が口先だけのものであることは、何の迷いもためらいもなく、弱い獣をむさぼり食らうように原作を改変していく容赦のない筆さばきを見れば一目瞭然。
簡潔で力強い鴎外の文体はたちまち姿を消して、太宰ファンにはなじみの、独特のねっとりした文体が現れ、それはやがて、どこからみても太宰作品としか思えない、一篇の作品を紡ぎあげます。

鴎外版「女の決闘」も文句なしの秀作ですから、太宰の筆による改変と、作品としてどちらがより優れているか、ここで評価するのは難しいのですが、
ただ、自分が手直しした方が良くなるんだとばかりに、原作を読者の前で堂々と書き換えていく太宰の、どこか無神経とも言えるふるまいに、私は、世間で流通している気弱なダメンズとしてのイメージとはかけ離れた、太宰のもう一つの顔。
自らの才能を誇る、思いあがった天才作家の顔を、はっきりと見るのです。

自分がどれほどの創作技術を持っているか人に見せつけたい。
この、因果とも言える欲望を、太宰ほど強く持っている作家は、ひょっとしたら稀なのかもしれません。
何かと言えば自分はダメな男だと言い、自分を気弱ではかなげなものに見せようとする太宰ですが、現実には、作家としての太宰は、大変な自信家です。
自分ほどの才能は創作のためならどんなことをしたって許される。
とまで考えているのではないかと言うフシが、身近な人たちによって語り伝えられている種々のエピソードの中にも見受けられます。

私はダメな人間ですという、太宰の涙まじりのつぶやきにごまかされてはいけません。
自分の知性と才能に絶対的と言える自信を持った、思いあがった天才作家の顔。
それを思い浮かべながら、この文庫に収録されている「新ハムレット」を読めば、また違った趣があると思います。
「シェークスピア先生。ここはこうした方がいいですぜ」
そう言ってにやけ笑いをする、太宰の勝ち誇った声が聴こえてはきませんか。
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