確かにストーリーや設定が中途半端ですが、クリストファー・リーとピーター・カッシングの千両役者ぶりは堪能できます。それに、地下に閉じ込められた女吸血鬼たちが次々と棺おけから襲ってきます。木の杭を刺されます。女吸血鬼が苦しむ表情がハマーっぽくてとってもいいです。妙にセクシーです。こういうのを見たい人には必見です。
現代(70年代当時)によみがえったドラキュラが企業の親玉になって、悪魔の儀式を催したり、強力なペスト菌作らせてばら撒こうとするのをヘルシング教授と孫娘、警察などが止めようとする話なのですが、世界を滅ぼそうというのにスケール感はなし。悪魔の儀式ももっと雰囲気が欲しかったです。
しかし御大カッシングは内容がめちゃめちゃなセリフにも説得力を与えてしまいます。クリストファー・リーの表情、身のこなしにはやっぱり惚れ惚れします。ドラキュラが現代によみがえって企業の親玉、という一歩間違えればバカ映画になってしまう設定を、くわっとあの顔で納得させてしまうばかりか、時空を超えて人類を滅ぼそうとしている悪のスケール感や孤独感を、何の説明もなく、セリフなしでもたった一人で出してしまいます。2人の千両役者のやり取りを楽しめる後半はハマーのファンなら至福の時間です。
ペスト菌で体がただれる描写など、ショック場面もあり、若干のアクションもあります。そしてラストのカッシング対リー!やっぱり凄いです。さんざしの枝に絡まって動けなくなるドラキュラの表情が見ものです。映像の中でリーは人間を超えて、吸血鬼として現前してきます。そのリアリティは特殊メークやCGでは絶対に出せない役者の力だと思います。