「サラリーマン金太郎」は、今回で、何と3回目の連載開始となる。近年の本宮氏は、次々と新作の連載を開始してもなかなかヒット作が出ず、結局、この傑出したヒット作「サラリーマン金太郎」に戻らざるを得ないといった感がある。
たしかに、この作品は、誰もが熱血漫画の主人公にはなり得ないと思うようなサラリーマンを、熱血漫画の主人公に据えてしまったという点だけでも、画期的なものだった。また、内容的にも、本宮氏らしい昔ながらのハチャメチャな豪快さと、本宮氏が日頃からよく勉強し、政治、経済、社会の表も裏もよく知っていることを窺わせる迫真のリアリティの両面を合わせ持った読み応えのあるものであり、私は、この作品こそが、過去、現在を通した本宮氏の最高傑作だと思っている。
ただ、私は、今回の3回目の連載を、既発の第2巻まで読んでみたのだが、少なくともここまでの展開を読む限り、長期連載物の常としてのマンネリ化の兆候と、漫画としてのパワーが落ちてきていることを感じてしまうのだ。
まず、今回の舞台もアラブをメインに設定しているのだが、いくら「これからの百年は、世界中から国境がなくなる」というコンセプトで描くにせよ、読む方としては、「また、アラブ?金太郎を活躍させる舞台は、アラブ以外にないの?」と思ってしまうのだ。美鈴との関係で、思わせ振りに登場させた桜井も、キャラが中途半端で、全く生きていない。
それと、前シリーズの「マネーウォーズ編」から、連載開始時までの世の中の動きを後追いして、ストーリーを組み立てるという傾向が顕著に出てきているのだが、この手法だと、オリジナリティもパワーも弱くなってしまう。また、ストーリーが世の中の現実の動きに追い付いた時点で先に進むことができなくなるので、結局、今シリーズも、前シリーズのように、連載が長続きしないで終わってしまうのではないかという危惧も抱いてしまうのだ。