前巻からの続きである「養子縁組詐欺」はほとんど神志名が主役で、黒崎はほんのちょっとしか出てきません。
御木本の一件があってから腑抜けのようになっていた警部補の熱い一面(刑事としては問題あるんだろうけど)が、エピソードのラストでひさびさに見れます。ついでに氷柱との関係が微妙に縮まったりもします。
ところでほかのレビュアーの方が指摘されている民法793条に関してなんですが、養子になる人が20歳以上であれば夫婦揃って養親になる必要はなく、たとえば養父だけが年上でその妻が年下であるような場合でも縁組は問題なく可能です。まぁこの場合、法的には母親の方は「養親」とは言えないわけですが。
メインの「裏献金詐欺」では個人であれ組織であれ献金は受けられない「ことになっている」政治家が、いかにして金を集めるか(特に違法であるネズミ講とほとんど同一の手口でありながらなぜマルチ商法が合法とされるのか)が描かれています。
しかし、このエピソードに限らずですけど、詐欺まがいの手口で多くの人に損害を与えるものの違法ではないとされるビジネスと、犯罪としての詐欺との境界線というのはいったい何なんだろうか、とか考え込んでしまうというか。
新シリーズに入ってからの「クロサギ」は明らかな違法行為としての詐欺を扱うというよりは、日本という国の社会構造に深く分け入っている「詐欺的現状」を暴き出すストーリーといった感があるんですけど、現行の法律がそれに対処できないとなれば、それこそ黒崎みたいなアウトローに頼るしかないのかも。
そう考えると、神志名の抱える鬱屈が理解できそうな気もしますね。