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新たな福祉国家を展望する  ~ 社会保障基本法・社会保障憲章の提言
 
 

新たな福祉国家を展望する  ~ 社会保障基本法・社会保障憲章の提言 [単行本(ソフトカバー)]

福祉国家と基本法研究会 編 , 井上 英夫 , 後藤 道夫 , 渡辺 治
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,575 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

新福祉国家の具体的な構想を提言する 待望の書。「安心して暮らせる社会」の実現を可能にする、日本の進むべき道を照らしだす。

内容(「BOOK」データベースより)

構造改革型国家の転換を!3.11後の日本の進むべき道を示す待望の書。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 236ページ
  • 出版社: 旬報社; 初版 (2011/9/29)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4845112272
  • ISBN-13: 978-4845112272
  • 発売日: 2011/9/29
  • 商品の寸法: 21.2 x 15 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By pon81
我が国は、今大きな岐路に立っている。
国家的な財政破綻の危機、格差、自殺者の増加、年金・医療・介護保険などの行き詰まり。そしてこの度の大震災と原発事故等々。この国の進路はいかにあるべきか。メディアに流れる論調は、とにかく経済成長を進めていくというもの。「トリクルダウン論(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」を未だに主張する者もいる。本当にそうなのか。
このような経済成長至上主義の流れに、「ちょっと待てよ」と警告を発するのが本書である。すなわち発想を転換して福祉国家を建設しようとの提言である。
福祉国家構想にはには次の6つの柱よりなる、1.国家の責任による生活保障 2.福祉国家を運営する、税・財政政策 3.大企業本位の成長政策ではなく、地域と地場産業を主体とした経済政策 4.地域主権構想に対抗する福祉国家型地方自治体と民主的国家構想 5.原発の廃止と自然エネルギー主体のエネルギー政策 6.軍事大国化を阻止し自衛隊を合憲的なものへの改編である。
3部構成であるが、第2部の社会保障憲章2011の記述が詳しく、本書の「肝」である。つまり労働の権利、基礎的社会保障サービス(医療・福祉・介護・保育・高校までの教育)などの現物給付と利用時の自己負担無の原則。住居保障、重層的で空隙のない所得保障による普遍的な貧困予防と救済、健康権保障、ナショナルミニマムとローカルオプティマムなどの具体的な提言がなされている。
この様な提言に、財政の問題を無視した全くの荒唐無稽の提言と言った批判が当然出るであろう。しかし新自由主義のもと、グローバリゼーションを推し進めた結果がこの国の現状である。現在の政治の昏迷が余りに酷く、メディアに登場する経済専門家が経済成長戦略を説いても、とても格差や貧困が是正されるとは思われず、結局は国民が希望を持てる未来社会像が見えてこないのである。
内容についてはいろいろ批判もあるが、この国の生き方を根本的に考えて見ようとした時、この書は参考になる一冊と思う。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
書評 2011/11/5
 この国(世界の先進国のほとんどを含めてだが)の進んでいる方向は、何かおかしい!何か変だ!ちょっとヤバイゾ!と国民の多くは、本能的に感じ取っている。財政負担と庶民の増税やむなしと思わされているこの時期に、この本が出版された意義は大きい。
あなたが本能的に感じている危機感こそが、正しく真理に近いことをこの本は詳しく明快に解説している。
 80年代土光臨調にはじまる構造改革そして小泉内閣が引き継いだ新自由主義経済路線とは、真逆の理論である。最も典型的な例は、新自由主義側が応益負担(受益者負担)を求めているのに対し、この本は「応能負担原則」を訴えている。
 読者は「社会保障基本法」に基づいた「新たな福祉国家」は、理想ではあるけれど財源は大丈夫か心配されるかもしれない。この本は、財源に関しても詳細に現実的に解説している。例えばp154〜社会保険の企業負担分を現在のEUなみ(GDP比11%)にするだけで26兆円の増収となる。現在の日本の消費税5%の2倍の額である。
 かつて、アメリカのGMが倒産しかかったとき、「トヨタはアンフェアである」とプレスに訴えたことがある。日本の大企業は国に手厚く保護されているため、社会保険事業主負担が5%にすぎないから、GMとしてはフェアな市場競争ができないと訴えた訳である。
 新自由主義経済派、ミルトン・フリードマン、マーガレット・サッチャー、ロナルド・レーガン、中曽根康弘、小泉純一郎、竹中平蔵らは、富者が富めば、盆の水がたまれば自然に下へしずくが滴っていくように「トリクルダウン」が起きるからと説明していた。しかし、この数十年の構造改革、新自由主義経済の中で、中間層へも貧困層へも、ついに「トリクルダウン」は起こらなかった。格差だけが拡大した。一滴のしずくが垂れるどころか大企業は内部留保として富を蓄えるばかりであった。
 賢明な読者は、実現可能性が限りなく低いと心配してくださる方も多いかもしれない。
 しかし、羅針盤を失った帆船日本丸が破滅の奈落へ流れ落ちようとしている時、この本が一筋の道しるべとなるとしたらどうであろう。夢のある人生とそうでない人生とは、人生の意味がまるで違ってくるように、道しるべを得た日本丸の乗組員は死に物狂いで嵐の海から逃れようともがき苦しむであろう。しかし、その苦しみはもはや苦しみではなく「希望」に変わる。
 良い例がある。障害者基本法は昭和45年に制定されたが、「希望」を世界中に届けたヘレン・ケラーが強く成立を希望していたと言われ、1912年から3度来日し影響を与えた。先進国の仲間入りを果たすという大儀の元、当時の政府は成立させざるをえなかった。
 世界一の富豪と言われているビル・ゲイツとウォーレン・バフェットでさえ、富める者はもっとお金を出すべきだと言っている。まさに応能負担原則を支持している。トリクルダウンがおきなかった新自由主義経済は富者をも幸せにはできなかった。ベンチャー投資家の原丈人は「公益資本主義」を唱え、故松下幸之助は企業の社会的責任を重視していた。
 この本は、現在の日本政府の方針の下で幸福感を感じ得ない多くの国民に「希望」と「闘う武器」を与えてくれる。
最後に、ジョン・レノンの「イマジン」の一節を送りしめくくりたい。
前半略
You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one
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3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ふぁんどり VINE™ メンバー
Amazonが確認した購入
 まず、一般の読者へ。第一部は我慢して読んでください。
 第二部、第三部で提示され、解説が加えられる社会保障憲章、社会保障基本法の案は、私にはとても参考になりました。しかし、第一部の「今なぜ、社会保障憲章、社会保障基本法が必要か」の論調には首をかしげてしまいます。
 例えば、こういう部分。3.11に関して、経済同友会の「緊急復興アピール」に、たんなる復旧でなく復興、とあるのをとらえて、「津波で農地が流され、漁港が破壊されたのを「絶好の」チャンスとして、農地を集約化し、法人化し、また漁港を整理淘汰し」云々するものだとかなり強く批判していますが、これはどうなのか。なぜなら、そんなことはアピールのどこにも書いていない。
 本書は、広く一般に、福祉国家のグランドデザインを提示して議論を喚起しようとするものでしょう。その中に、いかにも左翼の文法で記された文章はどうも……

 この憲章、基本法では「人権としての社会保障」として「人間の尊厳」を理念とし平等に重きをおきます。基本的なサービスは「現物給付」により「必要充足」し、かつ「応能負担」でなければならないといいます。また、いわゆる「高福祉・高負担」を否定し、大きな政府の財源として、主に法人税を念頭に置いています。
 議論は社会そのもののありようにも及んでおり、その論調は「基礎的社会サービスと居住保障が充実すると、日々の生活における貨幣依存の程度が下がるため、たえずより多くの貨幣を求める上昇志向と競争志向が緩和されやすくなる。営業、労働、生活の「低速化」と自由時間の拡大は、資源・エネルギー多消費社会からの脱却にも有効」とするなど、反(あるいは前)グローバル資本主義を謳います。

 構造改革に真っ正面から異を唱える反骨の書。社会の耳目を集めるとよいのですが……
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