この本には医療現場でおきる種々の医療過誤の具体例が述べられている。医療従事者であれば日常的に遭遇している、もしくは遭遇する可能性の高い話ばかりである。しかし、一般の人にとっては病院とはこんなにお粗末で危険なところかと驚くであろう。ここに語られている一つ一の話はそれなりに興味深く教訓に富んだ話ばかりでリスク管理の話からベイズ定理、システム論と展開されている。「ミスを犯さない医師はいない。」この前提-本質-に立たないと医療過誤に対する対策は立てられない。この本を読んだからと言ってどうしたら良いのかと言う明快な回答が示されているわけではないが、けして過誤を犯した医師を罰することで解決できる問題ではない。
私は医療過誤をおかした医師を民事だけでなく刑事告発すると言う日本の現状の異常さが、現在の医療崩壊の原因と考えている。けして医師数が足りないだけではない。是非、検察・マスコミの方に読んで頂きたい本である。