ハーヴェイはニューヨークのCM作曲家。娘の結婚式でロンドンにやって来るが、別れた妻たちの冷たい扱いに失望する。ケイトはヒースロー空港で働くアンケート調査員。「この歳でもう傷つきたくない」と半ば人生をあきらめて楽に生きようとしている孤独な40代。「花嫁の父」の役割を元妻の夫に取られたハーヴェイは、仕事のために式の途中で帰国しようとした飛行機に乗り遅れてしまう。そして、やけ酒を飲みに入った空港のバーでケイトに出会う…。
誰にも必要とされていない寂しさを笑いでごまかすハーヴェイ役にダスティン・ホフマン。どこかあか抜けしない屈折したケイト役はエマ・トンプソン。USAとUKを代表する2大オスカー俳優の本格的な共演作は、中年男女の渋いラブストーリー。出会いは最悪。ハーヴェイはケイトにつきまとう。すれ違いもある。
確かに、夢を信じるほど若くはないが、すべてをあきらめるにはまだ早過ぎる……そんな人生の折り返し地点を過ぎた男女の、ほろ苦く、心温まるふれあいがしっとりと描かれている。ロンドンの美しい秋の風景とともに、胸に沁みてくるのは、人生の豊かさ、繊細さ。生き方に戸惑う大人たちが、一歩踏み出す勇気を与えてくれる、滋味に富んだ、愛すべき作品だ。